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 新入社員の季節です。各職場では新人を迎えて研修や職場内教育を行っています。企業によっては経営者自らが、経営理念の説明や社会人としてのあり方教育を行っているところもあります。

 新入社員にとって、眠たくなるような研修機会は有難くないものですが、実はとても貴重な時間なのです。企業はお金を支払いながら新入社員に教育を行っているのです。本来であれば、教えてもらう立場の人が教えてくれる人にお金を支払って研修を受講するのですから、企業内研修は有難いものなのです。
 さて教えてもらう側は、職場の先輩や組合役員に悩み事の相談をすることができます。

 ところがトップは教えてもらうことができないばかりか、悩みを聞いてもらえる人も企業内には存在していないのです。トップは社内で弱音を見せることはできませんから孤独なものです。
 そんな時どうしているのか何人かの方に話を伺いました。
 信頼できる企業経営者と懇談する機会を持つことで悩みを解消すること。これは6時以降の会の場合が多くて、日頃から交流機会を作っているようです。二回か三回会っただけの他人に悩みの相談をする訳にはいきませんから、相談できる関係になるまでに相当の交流機会を作っています。ご馳走したりされたりの関係があるから、いざという場合に相談に乗ってくれるのです。

 いやらしい意味ではなく、人は自分のためにお金を使ってくれる人に信頼感を寄せるものです。懇談するために食事会を開催してくれることが、お互いの信頼関係を築いていくのです。食事会に招いてもらったら、次の主催は自分が行うべきです。いつも招かれる関係だけでは一方通行ですから、関係を深めよう考えるならばお返しをしなければなりません。困った時にだけ声を掛けるだけでは、悩み事の相談を受け付けてくれる関係にならないのです。日頃の付き合いがとても重要なのです。

 同僚や部下との懇談の機会を定期的にもっています。数か月に一度だけでも職場での懇談会を開催して、意思疎通を図っています。日頃からお互いの考え方が分かっていたら、会社内の風通しは随分よくなります。遠慮しないで話し合える関係がある会社は、経営者が人間関係で困ることは少なくなります。
 これも問題が発生してから懇談会を行っても意味はありません。普段からコミュニケーションを図ることが、トップが孤独にならない秘訣です。部下からトップに話し掛けることは中々できませんから、トップが定期的に懇談会の機会を作ることが大切なのです。
 
 そして紹介する最後の方法です。能力の高い優れた側近を持つことです。信頼して仕事を任せることで、いざという場合にはトップに代わって行動してくれます。
トップは孤独なものですが、孤独にならない方法を用意しておくことでそこから逃れることができるのです。
 悩み事を相談できる立場にいることは幸せなことなのです。社会的立場が伴ってくると、誰にも相談できずに解決すべき問題が発生します。それを乗り越えることに価値があるのです。自分以外の誰もその価値を知りませんが、乗り越えた人だけが分かるのです。

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