598.6秒の違い
 平成20年8月、北京オリンピックが始まります。夏のオリンピックで思い出すのは、余り馴染みの少ない競技なので皆さんは覚えていないと思いますが、アトランタオリンピックとシドニーオリンピックの400m走、金メダリストのマイケル・ジョンソンです。背中を反って走る特徴のある選手で、アンタッチャブルレコードと呼ばれる、今後とも破られる可能性の低い200m走と400m走の世界記録を持っている選手です。アトランタオリンピックの400m走では43秒49のオリンピック新記録で優勝しています。このマイケル・ジョンソン選手が持つ1996年に出した400mの記録43秒13は、今後、塗り替えるのは不可能とまでいわれています。
 参考までに、その後行われた200m走では自身の持つ世界記録を大幅に更新する19秒32の世界新記録で優勝していますが、この記録は向う100年、破られないとされていますから、凄まじい選手だったのです。

 ところでアトランタそのオリンピックで金メダルを獲得した時の話が、深く記憶に残っています。
 「金メダルを取るために頑張ってきたので、今その夢がかなって嬉しい」。金メダルを獲得した結果のこのコメントは、ここまではそれほど凄くないのです。しかしこの後が凄いのです。正確ではありませんが、続けます。
 「高校時代の記録は約50秒でした。あれから10年が経過して43秒台の世界記録を達成しました。縮めたタイムは約6秒なのです。その6秒を縮めるために頑張ってきたのです」。 

 凄い言葉だと思いますし驚きでもあります。高校生のタイムが50秒で、世界一のタイムが43秒なのです。その差はわずか6秒です。高校生レベルのタイムで終わるのか、世界一の400m走のランナーになるのかの違いは、わずか6秒だったのです。世界一と高校生のタイムの差は6秒、この事実に驚きませんか。ほんの少しの差が大きな違いとなっているのです。そして、そのわずか6秒のタイムを縮める努力を継続したことも素晴らしいことです。10年もの間、たった6秒縮めるために努力をしてきたのです。
 世界一とそれ以外を分けたものは少しの差だったのです。

 マイケル・ジョンソン選手の自分が縮めたタイムの差。世界一になることと、そうならないことの間には、ほんの少しの違いがあるだけだったのです。怠けていたら高校生レベルのタイムで終わっていたかも知れませんが、10年も掛けて6秒を縮める努力をしてきたのです。
 私達の活動も全く同じだと思います。しんどいけれどもあと少しだけ頑張れるか、面倒くさいので諦めるか、その少しの意識の差が、結果として大きな差となって現われるのです。結果で悔しい思いを味わいたくないとすれば、ほんの少しの頑張りをしたいものです。
 少し頑張ってみようかという気持ちにさせてくれる大好きなエピソードです。

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