597.組織のルール
 ある会社組織に関して相談があり話を伺いました。この会社では人の入れ替わりが多いそうです。新しい社員が入社しても定着しないので入れ替わり率が高く、困っているようです。定着しない理由は様々でしょうが、話の中から問題点がありました。

 ひとつ。社長が従業員の話を全く聞かないで、自分の思ったことだけを押し付けてくること。従業員からの提案に対して聞く姿勢が必要ですし、ポイントを突いたものであれば検討部会を設置するなどして実現に向かう方向に仕向けることも大切です。トップダウンだけでは組織は強くなりません。

 ふたつ。余りにもライバルの弱みに付け込む経営姿勢があること。市場の奪い合いは厳しさを増していますが、資本主義以前の人としての最低限の暗黙のルールがあります。例えば、ライバル会社の顧客リストを秘密裏に入手してそこに営業攻勢を仕掛けることはルール違反どころか法令順守の観点からも失格です。

 みっつ。また中間の立場にいる組織からメーカーなど有力者を紹介してくれた結果、取引関係が成立した場合の出来事です。最初は紹介してくれて有難いと思っていたものが、やがて直接取引した方が利益率は高なりますし社会的評価も高くなるので、紹介してくれた中間者を飛ばして取引関係を結ぼうとすることもあります。ところが、メーカーと中間の立場の人が信頼関係を構築していた場合などには、メーカーからの信頼を失い取引を中断されたり、紹介者を飛び越えようとしたことで業界の評価を落とす場合もあります。今、ここにある利益を増大させたいと思ったばかりに、将来の利益を失うことになったり信頼を失ったりすることになるのです。

 私達は、井戸を掘ってくれた人のことを忘れてはいけないのです。中間に存在してくれている人は、一見、利益を生み出していないように見えますが役割があるのです。それは両者をつなぐ信頼です。どれだけ利益が見込まれる取り引きでも、取引相手またはつないでくれた人との信頼関係が成立していないと、仕事は上手く進みません。

 信頼は最も大切にすべき価値のひとつなのです。間に入ってくれている人の存在があるから、取引関係を結べた両者の利益は最大化されるのです。
 全く知らない相手と商取引をしようとしても、窓口が分からないばかりか取引関係に至るまでには相当の時間を要します。一般的に大手と取引をするためには、事業者登録してもらうだけでも大変ですし、運よく登録事業者になっても、実績がないことから初年度は入札にも入れない場合が殆どです。

 信頼関係にある中間者がいると、それらに要する時間をショートカットできる場合もありますから、コストの観点からすると経費削減と、時間という大きな利益を生み出しているのです。そこを大切にしないで何を大切にするのでしょうか。
 組織発展のためには井戸を掘ってくれた人の存在を忘れてはなりませんし、井戸が枯れたとしても後々まで大切に見守ることが大切です。

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