534.卒業式
 2008年春。和歌山市内の公立小学校では卒業式が挙行されました。卒業された皆さんおめでとうございます。月並みですが、あっという間の小学校生活だったことと察します。ランドセルの方が背中よりも大きかった新入生の頃、逞しさを増していく頃、そして最終学年になると一気に少年、少女の時代を卒業する時期に近づいていきます。

 それにしても今の子ども達は元気があります。歌や別れの言葉を大きくて元気の良いきな大声で発してくれました。
 今でも自分の小学校の卒業式のことは思い出せますから、卒業式と小学校時代の思い出は一生涯を通じて心に残るものです。私が小学校を卒業したのは昭和49年でしたから、今から34年も前のことになります。卒業式には、クラスのみんなと離れる寂しい気持ちの思い出もあります。本当に月日が経つのは早いものです。

 卒業式を終えた体育館から自分のクラスの6年3組の教室に向かったあの時は、まさか大人になって和歌山市にいるとは思っても見ませんでしたし、まさか和歌山市議会や和歌山県議会に挑戦するとは思ってもいませんでした。当時は今のように小学生にとっては豊富な情報を得られませんでしたし、職業体験などもありませんでしたから、将来の夢を具体的に描けていなかったのです。

 私の通学した宮前小学校は、みんな仲が良くて本当に楽しかった思い出だけが残っています。最終学年の6年3組は特に仲良しで、担任だった尾崎加代子先生のことは今でもはっきりと覚えています。昨年の県議会に当選させていただいた翌朝、電話をくれたのも尾崎先生でした。30年の時が経過しているように本当に久しぶりでしたが、何時までも覚えてくれていて、そして見守ってくれている担任の先生の有り難さを感じています。先生と話をすると小学生に戻ったような気がするのです。何故か会いたくなってきました。

 さて今日卒業した小学生の文集を拝見すると、具体的な夢や思っていることがしっかりと書かれていて、昭和の時代に小学校を卒業した私達よりも優秀で成長が早いことを感じさせてくれます。
 当時の卒業式は「蛍の光」が定番で、「今日の日はさようなら」なども卒業式で歌ったと思います。その後、時代と共に卒業式の歌も移り変わっているようです。自分の卒業式の歌で記憶しているのは、「贈る言葉」や「サウンド・オブ・サイレンス」「つゆのあとさき」などです。今だと「桜」や「蕾」が卒業式の思い出の曲として記憶されるのでしょうか。

 小学校を卒業すると一気に親から離れていきます。参観日や遠足なども親と一緒ではなくなりますし、運動会を観覧する機会も減少します。子どもと一緒に遊びに行く機会も減りますし、親は子どもが離れていく寂しさを感じるのかも知れません。

 小学校の卒業式は、子どもにとっては大人に向かう途中の節目であり、親にとっては子どもが自分から離れていく予行演習のための一日のようです。嬉しくもあり寂しくもあります。人は幾つになっても、卒業の言葉には特別の感慨があります。

 卒業。それは同じ気持ちで再びその場所に戻れないこと。
 卒業。それは次の段階に進むことを余儀なくされること。
 卒業。それはいつまでも心に深く沈み、消え去らないもの。
 卒業。それは過去と決別する不安と未来への期待が入り混じったもの。
 卒業。それは広い世界を目指す可能性が解き放たれること。

 今日の日、それぞれの意味と思いを持って旅立ちました。寂しさもあるでしょうが、4月には中学生としての新しい学生生活を向かえることになります。その頃には期待が不安を上回っています。

 もうひとつ、第三者として参加して気付いたことがあります。校長先生から卒業生一人ひとりに卒業証書が渡されましたが、その光景は次の世代へのバトンタッチだと言うことです。校長先生になることはその時点では定年が迫っていることなのです。校長先生でいられる期間は長くて数年ですから、自分のことをするよりも社会を支える次の世代を育てることが仕事であり使命なのです。卒業証書を渡している姿は「おめでとう」の姿勢ではなくて、「次の時代を背負うのは君達だからがんばれよ」と励ましている姿勢に見えました。

 6年間で成長した子ども達にバトンをつなぐこと。それが学校の先生という仕事の意味なのです。今日小学校を卒業する12歳の卒業生が成人するのは8年後です。その8年後には、今日の校長先生も50歳代後半の担任の先生も現役でいませんから、確実に世代交代することになるのです。小学生が卒業するこの時、将来は遠くにあるように思いますが、世代交代の時期は思っているよりも近いのです。

 卒業式は世代をつなぐリレーのように感じました。今日の宮小学校では和歌山市内で最も多い172人の卒業生にバトンが渡されました。それぞれ進む道は違いますが、今よりも遠いところまでバトンを運んでくれることを期待しています。

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