533.一歩と継続
 仲の良い和歌山シャンソン教室の生徒3名が記念式典を行いました。招待を受けたので会場となったホテルグランヴィア和歌山に行ってきました。集まったのは出演する3人と交流のある150名の方々でした。大勢の方が見守る中で約2時間の熱演でした。趣味で始めたシャンソンが、この日の舞台につながったことは素晴らしいことです。

 出演者の一人Tさんは会社勤めを終えた後、和歌山シャンソン協会の橋本先生に出会ってシャンソンを習い始めました。それから数年経ち、「まさか趣味で始めたシャンソンで自分がこのような舞台に立つことになるとは夢にも思っていなかった。そして皆さんに聴いてもらえるとは、これもまた夢にも思わなかった。幸せです。」と話してくれましたが、ひとつのことに着手したことが周囲にも影響を与えていますから、この行為が素晴らしいことなのです。自分が動くことで周囲にも影響を与えること。これが生きていることなのです。

 今日の場合、もしTさんがシャンソンを初めていなかったとすれば、今日の舞台はありませんでしたし、もしTさん抜きの式典だとしたら、集まった人も違った筈です。一人の小さな行動による影響は大きな影響に発展しているのです。これも北京の蝶々のひとつです。

 式典の席でお隣に座ったSさんとも話をしました。Sさんは6年前に奥さんを亡くしたことで悲観し、笑顔を失いました。眉間にしわを寄せるような表情に変わったことから、更に幸せは遠のきました。そこでシャンソンに出会い、人生を楽しんでいる会員の皆さんと触れている中で、自分を不幸にしているのは環境や他人ではなく自分だったことに気付いたのです。幸せになる秘訣は簡単なことでした。それは笑顔になることです。しかもこれは他人の影響を受けるものではなく、自分で心掛けたら出来ることなのです。

 それ以来、Sさんは常に笑顔になりました。笑顔が幸せを招くこと、それはシャンソンとシャンソン協会会員が気付かせてくれた人生の法則でした。Sさんは仕事では厳しい人でしたが、今は笑顔に包まれた人生を過ごしています。何と素晴らしい仲間に囲まれているのでしょうか。シャンソンは生涯の友人となっています。

 同じテーブルのOさんのご主人さんは66歳でピアノを習い始めました。今も毎日自宅でピアノの練習をしているそうです。会社勤めを終えた人生の時間でピアノを始めて、毎日練習を継続していることは、人生に遅すぎることはないことを示してくれています。上達のレベルや技術は関係なく人生の幅を持たせてくれる意味で、毎日、自分から取り組めるものがあることは素晴らしいことなのです。物事を始めるには遅すぎることはない。生きた教訓を教えてくれるようでした。

 それにしても3名の生徒の皆さんが記念式典をしようと思い立ってから、企画を立て準備と参加案内、その間に舞台の打ち合わせと練習を続けて来ました。イベント立案の経験がない3名の方が今日を迎える迄には大変なご苦労があったと推察出来ます。その苦労の分、「やって良かった」と思っていることと思います。シャンソンと出会ってから十数年、式典の企画と主演の舞台を成し遂げるまでになりました。ゼロから始めた取り組みが十数年を経て成果につながりました。シャンソンを始めたことと、練習を継続したことが成果に結びついたのです。

 一歩を踏み出して継続させること。これは近道ではないけれども、全てに通じる王道なのです。

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