461.列車の時刻
 恥ずかしいことですが、人と待ち合わせている時間や会合の開始時間に遅れることがあります。理由になりませんが、その主な理由を述べると、前の会合が長引いたこと。会合の時間を1時間刻みで組んでいるため、最初の少しのズレが一日の最後になると大きくなってくるから。ここに来るまでの道路が混雑していて遅れたこと、道路が混雑していなかったら送れていなかった。などが挙げられます。何れも自分を納得させてくれるものですが、相手にとっては関係のない理由です。

 行動している限りにおいて、何よりも大切なものは時間です。それは相手にとっても同じことですから、自分が遅れたことで相手にとっても大変貴重な時間を無駄にさせることになるのです。

 次のような話を伺いました。
 ある式典の開始時間が30分遅れたそうです。式典参加者の多くは揃っていたのですが、来賓が遅れたため開式を30分遅らせたのです。参加者の多くは黙っていましたが、一人の方が主催者に言いました。

 「1時出発の南海電車(南海電車は和歌山市と難波を結んでいる鉄道です。和歌山市の人は良く利用している馴染みのある鉄道です)に乗ろうとしたら、1時5分に駅に到着しても乗ることは出来ないのです。5分遅れたら電車には乗れないのですよ」。
 電車は一人を待ってくれないことを知っていますから、電車に乗ろうと思えば時間に間に合うように行動しています。電車に乗ることよりも、招待を受けた何十人もの人が参加する式典の方が大事なことは分かっているのですが、それを実行出来ないことがあります。

 電車は時間通りに進行するもの(現代の日本においては、です)だから遅れては乗れないと言う意識があります。ところが式典場所は移動することはないので、少しくらい遅れても大丈夫との意識があるのです。実は出席を依頼されている式典においてもその程度の意識なのです。
 ところが、もし私達が社員で勤めている会社の社長と面談するとしたら、時間よりも相当早い時間から面談の場所に行き、社長の到着を待っているのではないでしょうか。

 もし大切な用件で仕事のキーパーソンと会う予定があれば、時間に遅れることは決してしないものです。
 叙勲を受けた方が天皇陛下とお会い出来る機会があるとしたら、その時間に遅れることはないと思います。
 つまり式典に遅れることは、その式典を軽く見ているからなのです。しかし式典を準備している人にとっては、それはとても重要な式典なのです。主催する人にとって重要な式典に招待された場合、遅れることは出来ないのです。

 人と会う約束の時間や会合の時間には決して遅れないように気をつけたいと思っています。人と会うことは、電車に乗ることよりも重要な用件であることの方が多いのです。
「電車に乗ろうとしたら出発時刻に1分でも遅れたら乗れない」。心掛けたいものです。

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