459.ゴール
 禅堂には次のような言葉が掲示されているそうです。
 「生死事大 無常迅速 各宣醒覚 慎勿放逸」
 この意味するところは、「生まれて来た以上は、死ななければならない。君のこの一度限りの人生を、君は如何に生きて過ごすのか。時は無常にも瞬く間に過ぎ去っていく。君はこのことをしっかりと目を開けて、よくこれを掴んで生きなければならない。人生を無為に過ごしてはいけないからだ」(出典:「目標が現実になる勉強法」井藤公量著)というものだそうです。

 時はとてつもなく速いスピードで過ぎ去っています。一日、一ヶ月、そして一年が過ぎるのが早いと感じている人も多いと思います。一日のうち、1/3は寝ている時間だとすると起きて活用出来る時間は2/3です。そして人生においても日本人であれば義務教育の期間、そして学生時代は自分の進むべき方向を見つけていない人が大半でしょうから(勿論、人生の目標を持っている人も多い筈ですし、その様な人を羨ましいと思います)、自分の意思で歩き出すのは20歳代からだと思います。そして現役で活動出来る期間は、一応60歳の定年とされる年齢で区切ると(それ以降の年齢を非現役と考えている訳ではありません。現代社会における一般的な上場会社の定年の年で線引きしました。勿論、生涯現役、そして生涯勉強だと考えています)、活動出来る期間は40年と言うことになります。
 自分の意思で、そして健康な身体で活動出来るのは本当に少ない時間です。

 実は、今でも小学校6年生の時の修学旅行のことは覚えているのですが、平成19年9月20日から二日間、子どもが修学旅行に行ってきました。しかも和歌山市から奈良の大仏、東大寺を見学、そして京都に入り、銀閣寺、金閣寺、清水寺などを周る行程だったのです。
 私が修学旅行に行った当時ほとんど同じ行程ですから、今でも全てのコースを思い出すことが出来る程です。子どもが12歳になっていることは、自分が12歳年を重ねていることを表しています。そして私が修学旅行に行った小学校6年生の時代からは、恐ろしいことに今年で34年も経過しているのです。その間、人生において何をしてきたのか明確ではないことは、もっと恐ろしいことなのです。

 若くして成果を残している人は沢山いますが、それらの人達は子ども時代から明確な目標とそれを目指す強い意思があったのです。それに早く気付いた人は若くして目標に向かって進んでいるのです。
 ところが多くの人は、人生の目標を見つけるために人生の旅を今日も続けています。早く目標を持つことは無為に過ごさない秘訣ですが、そこまで辿り着くのに時間を要してしまいます。そして目標を定めてからが、本当の意味で自分の人生の活動がスタートします。

 スタートしてから残りの時間は少ないのが多くの人の現実です。ですから躊躇している時間、佇んでいる時間はありません。目標を達成した年齢から逆算して今何をすべきか、そしてこれからの年月に何をすべきか、明確に辿っていくことが重要です。目標を持つことが出来たなら、目指すべきゴールが明確になったと言うことです。ゴールが明確になると、これから何をすべきか計画を立てられるのです。計画が立てられるとその日、その月の行動が具体化されます。日々の行動が具体化されると充実したものになります。
 もう無為に過ごすことはなくなるのです。

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