406.労使関係
 ある経営者から、和歌山市が遅れているのは働く人の意見を経営者が聞かないことにあると伺いました。
 上場企業では労使間協議に基づいた規則に従って仕事を行っています。しかし労使間の協議をすることなく経営者が一方的に事業を進める会社においては、会社は社長のものであって、従業員はアワーカンパニーだとの意識は全くないようです。私達の会社だと思うことで一体感が醸成され業績は向上します。しかし会社は社長の所有物だと認識されると時間内で仕事を終えますし、経営者の考えも浸透しません。

 本日懇談した社長からは、会社とは経営者と労働者が鍵を一つずつ持っているようなもので、お互いが同時に鍵を廻すと扉が開くと話してくれました。つまり労使が一体になるとこで会社経営は成り立つのです。経営者だけが鍵を持っていても上手く運営出来ませんし、労働者が強すぎても経営は成り立ちません。バランスが何よりも大切で、経営者も従業員も私達の会社だと思うことで強い会社になります。業績の良い会社よりも強い会社が生き残る会社です。

 強くなるためには経営者が会社の方針と将来の方向性を示すこと、そして労使で議論を交わし納得出来るものに修正を行い、お互いが納得した計画や施策を実行することが必要です。目先の業績だけを追い求め従業員に負荷を強いるような会社は、短期的に業績が上がったとしても長期的な発展は望めません。
 社会の発展と会社の利益の両方を追求する会社間の競争が地域を発展させてくれます。会社の業績を上げるためには、人件費を抑制するか設備投資を見合わせるのかの選択を行いました。会社の財産である人や設備、つまり身を削って利益を生み出そうとすると人の心は離れて行きます。

 人を大切にしないと従業員もお客さんも離れて行きます。設備投資をしないと安全性の確保は難しくなり、問題が発生すると結果として企業の社会的責任も問われることになります。人の絆と会社の信頼が上手く行く会社の両輪です。これらを犠牲にするようなら将来はありません。私達消費者は、サービスの提供を受ける立場の人は企業姿勢を目抜くだけの資質が必要です。

 同様に政治家の資質を見抜く資質も必要です。人を大切にして地域全体の発展を考える政治家がいるまちは長期的に発展して行きます。逆の場合は長期的には低落傾向になります。どちらを選択するのかは有権者の判断にかかっています。

コラム トップページに戻る

前のコラムへ   /  次のコラムへ