370.トイレ掃除
 和歌山市内のある自治会では市立公園の公衆トイレの清掃を、毎日自治会の会員が交代で行っています。1年365日、1日も欠かさないで毎日清掃活動を行っています。年末も正月も関係なしに何年も継続しています。そしてトイレ清掃日誌を毎日付けていて、この日誌は貴重な記録となっています。
 日誌には、きれいに保たれている日は○印、ややきれいな状態にある日は△印、汚れている日は×印を付しています。
 トイレを清掃すると色々な効果が見られています。謙虚になること、良く気付く人になること、感謝の気持ちを感じることなどです。

 面白いことに公衆トイレが設置された当初は汚されたり悪戯されたりしていたのですが、汚れたまま放置しておくのは良くないと考え自治会で清掃活動を行うようになって以降、徐々にトイレに悪戯される割合が低下しました。公衆トイレは毎日清掃しないと汚れが付着すると、どれだけ強く擦っても取れなくなってしまいますから、管理が難しくなってしまいます。面倒でも毎日の清掃が基本だそうです。
 更に、信じられない出来事を聞きました。男性用トイレが割られていたこと。トイレに空き缶を流して配管を詰まらせられていたこと。何度トイレットペーパーを設置しても翌日には全て持ち去られていたこと。清掃用の長靴が盗まれたこと。落書きや注射針などが放置されていたこともあったようです。

 一つひとつ対策を講じて皆んなが使用出来るトイレにしていきました。割れた窓ガラス理論が言われているように、ゴミが放置されたままなどの場所や地域は、管理されていないと思われるため更に汚されていくことになります。
 公共のものは誰かが管理してくれると思っていると、誰も管理してくれません。行政機関に任せると経費が発生しますから、実は市民全体で負担することになっているのです。
 行政が公共物を管理するのは当たり前だとか、行政サービスはただと考えるようでは、市税の負担が増加するばかりです。高コスト自治体に向かうと本当に必要な行政サービスが受けられなく日が来るかも知れません。
 隅々まで行き渡る行政サービスを求めるのであれば市税負担が大きくなりますし、市税負担の削減を求めるのであれば、行政サービスをカットしたり見直して廃止することも必要な時代に突入しています。

 言えることは、お金を出して公共施設の管理を他者に任せるとそれを大切にしなくなります。自分達で管理することで公共施設を大切にする気持ちと地域のまとまり感が出てきます。どちらを選択するのかは当該自治体に暮らす人の判断となりますが、個人や地域の選択が積み重なると、それが地域としての結果を導き出すことになります。
 全ては小さな判断の積み重ね。全ては皆さんの意見の総和です。地域のあり方を言った覚えがない人でも地域で何かの結果が出たとしたら、それは知らない間に権限者に白紙委任をしているのです。個人の力は決して小さくありません。

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