367.最後の旅
 平成18年6月29日、長年勤務していた会社を去ることになった方の、現役最後の出張の日が6月25日と26日の二日間でした。出張先は大町から黒部、そして黒部ダムを通り抜けて宇奈月に向かいます。今日は明日からの行程に備えて大町に宿泊しています。
 朝、和歌山を出発し大阪から名古屋、そして松本へと辿り着き、午後4時に大町に到着しています。途中、メールで会話をしたのですが、現役最後の出張は一人での旅路となっています。途中、電車から元気なメールが届きました。
「松本へ向かっています。ホテル着予定4時です。弁当に缶ビール飲んで最高です。現役最後の旅をさせてもらって有難いです。一人旅も良いですよ」
 約30年の会社生活に別れを告げることのホッとした感じと、この出張を最後に会社に戻ることのない寂しさを感じさせる言葉です。
「弁当に缶ビール。最高ですね。一緒に行きたかったところです」と返答。

 ホテルに到着した後の会話です。
「ホテルのレストランで食事をしています。一人で飲んでいますが寂しいです。一人ですので酔いが早いです」
 現役が続いていると感じないような、一人だけの夕食の寂しさが伝わってきます。複数の人での出張だったら賑やかで楽しい夕食になるのですが、一人だと少し物足りなくて、そして会話がないことからアルコールの酔いの速度は早くなりそうです。長年の現役生活での出来事を想い出しているのではないでしょうか。
 私の思い出も蘇ってきました。
「今までどれだけご迷惑をお掛けしたのか分かりませんが、長い時間のつながりがあったので、思い切って飛び込めたのかも知れません。もしあなたが当時の責任者でなかったら、私は今の活動は出来ていなかったと思います。本当に感謝以外の言葉がありません。明日気をつけて黒部案内をお願いします。まさか黒部が最後になるとは思いませんでした。何かの予感があったのかもしれません」
 2週間前に黒部出張をお願いしたのは私だったのですが、まさかこれが最後になるとは夢々思いませんでした。

 最後の時を迎えようとする日々は何を感じるものなのでしょうか。長いか短いかは人それぞれですが、会社に勤めた経験のある人には会社と別れる日は何時か訪れます。定年定職、出向、途中での退社、会社がなくなるなど理由は様々ですが、会社を去る日の寂しさは誰しも感じるものではないでしょうか。
「新しい職場でも皆んなのために頑張りますよ。頑張る者に周囲が理解して支援の輪は限りなく拡がっていくものです」
 会社を退職した後の残りの人生は、経験を請われて別の会社に勤めることになります。それでも、今までと変わらないで応援してくれると暖かい言葉を掛けていただきました。
「雨と寒さに気をつけて下さい。つかの間の休息と良い旅を」
 長年の勤務に別れを告げるための休息と、疲れを洗い落せる黒部出張になるように、心を込めて返事をお返しいたしました。
 長年お疲れ様でした。そして、これからもいつものスマイルで元気な姿を見せ続けて下さい。

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