366.不撓不屈
 不撓不屈。大きな力に向かって行く姿勢を持ち、若い頃から正義感を貫き通して来た経営者と長い時間懇談する幸運に恵まれました。人は経験者から話を聞いて未体験の事柄や、これから遭遇する可能性のある人生の壁の乗り越え方などを学ぶことが出来ます。人生の先輩から話を聞く姿勢を持つことが何よりも大切な態度です。素直に聞く姿勢があると、必ず相談事に対しての示唆をしていただけます。

 草花を育てるためには水を与えすぎてもいけないけれど、全く与えないのはもっと駄目なことです。草木に水を与えることを人間関係に置き換えると、最初に受けた恩人からの恩を決して忘れてはいけないと言うことです。人が社会的に大きくなる過程においては、他の風に当たったり、風を受ける旅に出る必要もありますが、たまに故郷に帰った時位は恩を受けた人の元に近況報告をする必要があります。人間関係は挨拶と報告に始まって終わる位の気持ちを持つことです。
 年齢が上の先輩に対しては敬う気持ちを持って接することです。その気持ちを持っていると先輩達は後輩に貴重な経験を伝えてくれます。ただし素直な気持ちを持っていることが条件です。

 濁った水を入れたコップに澄んだ水を注いでも、直ぐにはきれいになりません。きれいになるまでは、コップが溢れる位に何倍ものきれいな水が必要となります。最も素早く濁った水が入ったコップの水をきれいにするには、まず濁った水を捨てる行為が必要で、空になったコップにきれいな水を注ぐとコップの中の水はきれいになります。
 疑いの気持ちや人の話なんか聞いても仕方ないと思う気持ちは濁った水と同じで、先輩達がきれいな水を注ごうと試みても、聞く側が濁った水を捨て去らないと先輩達の教えから学ぶことは出来ません。人生の先輩達から学ぶためには、素直な態度で人に接することが何よりも大切です。

 さて懇談したこの方は素晴らしい経営者なのですが、長い年月に亘り組織の長と接した経験から、組織をまとめるためのトップの条件があると言います。それは成果を部下や構成員に分配することです。形の上では組織としての成果はトップのものとして評価されます。例えば構成員が望んでいた建物を建設したり、構成員に配布する情報誌を初めて発刊したりする行為は、トップがやったこととして評価されます。
 しかし実務を行ったのは構成員なのです。トップとして取るべき態度は「この仕事が出来たのは建築担当の△△さんがいてくれたからです」。或いは「情報収集能力の高い○○さんが編集してくれたから発刊出来たのです」と実務に関わった構成員を褒めることです。成果を自分だけのものにしないで関係者の行動の結果であることを周囲に示すことで、余計にトップの評価が上がるそうです。

 人の評価は自分で作り出すものではありません。周囲から自然に評価される人物がトップに立つ人に必要な条件だと聞きました。しかし周囲からの評価は作れるものではありません。信頼を獲得するまでには長い時間と謙虚な姿勢の継続が求められますが、長い時間同じことを継続出来る姿勢が評価につながるのかも知れません。
 人生、一足飛びにはいかないものです。

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