365.感性
 トップに立つ人の条件には色々がありますが、変わったところでは感性が重要であるとの意見がありました。
 トップに立つと対面している相手や周囲が何を思っているのか、何を実行して欲しいのかを感じ取る能力と、本人が感じ取ったことをその相手に伝える態度が必要なのです。例えば、問題が惹起して引くに引けない状況に陥った場合は、検討して善処するとか責任の所在を明確にしますなど、相手が納得しないばかりか結論を長引かせるような応対をしているようでは資質に疑問符がつきます。
 相手の怒りの原因を話の中から掴み取って、振り上げた拳を降ろせるように対応をしなくては問題の解決はありません。怒っている原因が、物事を隠していることにあるのか、応対する担当者の態度に問題があるのか、制度やしくみの改善を求めているのか、など本質を掴んで対応する能力が求められます。

 怒りや求めていることの本質が分からないでは問題の解決につながりません。この場合、相手のことを分かって応対出来る感性が必要なのです。感性があれば問題の本質を把握し、その部分を解消するための行動を取ることが出来ます。
 相手の気持ちを思い把握し、人間味のある応対が出来ることがトップに求められる資質のひとつです。現代社会では、ひとりの人間が全てを把握し、課題解決に向けて実行出来る時代ではなくなっています。周囲の人と協力しながら課題解決に努めていく人が優れていると言えます。

 ところが複数の人が関与してくるにつれて人間関係が難しくなってくるのも事実です。人は同じ事象に直面した場合でも考えることや思うことが異なりますから、トップの一言で全員が本心から納得する訳ではありません。周囲の人の思いを汲み取る感性を持つことで納得してもらえることがあります。
 問題解決に関して賛同してくれるにしても相手方の態度は色々です。問題解決に向けて共通の意識を持つ大切な人ですから、とりあえずスタートさせるためにはトップに感性が必要です。

 例えば、本当に賛同してくれた方に対しては「課題解決に向けて一緒に難局を乗り切りましょう」の一言。
 渋々賛同してくれた方には「問題が残るかもしれないけれど大筋で了承してくれてありがとう。皆さんの思いを取り入れ修正しながら問題解決を図りましょう」の一言。
 不満の残った人に対しては「あなたの思いと違う決定をして本当に申し訳ない。この件ではひとつ借りを作ったので、何かの形でお返しさせていただくので、今回は協力して欲しい」の一言が欲しいところです。
 進むべき方向性が決定したら人の気持ちはどうでも良いと考えるのは、明らかに間違いです。トップには、決定に際して少し不満の残る人の気持ちを汲み取り、協力体制を整えられる感性と協調性が必要です。

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