208.一瞬と永遠
 夕食会で一緒に写した写真を預かりました。元気に食事会をした時に撮影したもので、笑顔が満ちた写真です。
 永遠に続くように感じる日々ですが、過ぎ去れば一瞬の出来事の積み重ねであることが分かります。
 夕食でも懇親会でも、そこで出会う人と接する時間は2時間から3時間程度です。一日の内でも一瞬の時間ですが、それがかけがえのない時です。同じメンバーで同じ場所で出会える機会は思うほど多くはありません。

 年齢を重ねた人が話すことで多いのは、今まで築いてきた思い出の数々です。それも人との出会いに関するものが多いようです。人生は人との出会いにより、積み重ねられるものであることが分かります。一人で歩いただけで登場人物が少なければ、思い出として語るほどの物語は描けないのです。
 そして人生の物語となるためには、何かを成し遂げるために共同で仕事や活動をした経験が必要です。単に一緒にいるだけではなく、プロジェクトを担ったチームや事業を一緒に遂行した体験などが強烈なものとして残ります。 

 長く生きることはそれだけで素晴らしいものですが、その中にたくさんの物語が詰まっていると年齢を重ねても精神的支柱となり得ます。現役時代に目の前に出現する課題やチャンスは避けないで果敢に取り組む姿勢を持ちたいものです。金銭ではない大きな財産となるのは間違いありません。

 いずれ無に帰するから何もしなくても良いのではなく、何かを達成するために日々全力を尽くすことが人生の意味です。死を意識することで生が分かります。
 いつもながら思うことは、人生の幕を閉じた方に接すると様々な人生がありドラマを演じていたというものです。世間で知らないところで日々演じられているドラマがあります。 
 人と接することはその一部に登場することですから、全力で接しないと失礼だと感じます。疲れている時や気分が乗らない時もありますから、いつもその気持ちで接しているのか反省させられます。

 企業にいる人なら誰でも一度は定年や出向の転機を迎える時が訪れます。来て欲しくない時間ですが、誰の下でも時間は経過することは人生において避けられないもののひとつです。
 いくつかの出会いがあり絆は時間と共に深まりますが、やがて別れ行く時が来ます。惜別の複雑な思いが交錯する中、包み隠すようにして時間は過ぎていきます。明日になれば、また新しい旅が始まります。

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