121.枡計算と数式計算
 脳科学についての研究が東邦大学の川島教授により行われ理論づけされています。脳もトレーニングを施すことで鍛えられることが解ったのです。昔から日本では、読み書きソロバンが勉強の基本であると言われてきましたが、脳科学の解明により真理であることが証明されているのです。現代風に言い換えると、読み書き計算となりますが、この組み合わせで脳を鍛えられるのです。

 脳を鍛えるには朝の時間帯に読み書き計算をすることが望ましいのですが、読み書きは自宅でも簡単に実施出来ても、計算は家庭で気楽に出来ないのが難点でした。毎日数分で良いから続けることで考える能力、記憶力が養成されます。問題は簡単なものを解く方が、難しい問題を解答するよりも適しています。脳の中で一番重要な仕事を司っている前頭前野は、簡単な計算問題を素早く解くことで鍛えられます。前頭前野は知識を蓄え言葉を作り出すところで、知識があるとか頭の良し悪しなどはここで決定される重要な部分ですが、トレーニングにより鍛えることが出来ます。

 難しい計算をしている時と簡単な計算をしている時の脳の状態を比較すると、後者の計算をしている時の方が脳に血液が多く流れます。血液が多く流れることは脳が働いている事を示しています。同様にテレビを見ている時やテレビゲームをしている時には、脳の血液は余り流れていないのです。これは自分が思っている程頭を使っていないことを示しています。
 前頭前野を鍛えることは畑を作る作業のようなものです。ここを耕して良い状態に保つことで知識を得るための土壌が築かれ、創造力向上など次の段階に入ることが出来ます。基礎体力がないのに直ぐに技術を身につけようとしても無理なように、まず前頭前野を鍛えてから応用に入ることで能力は伸びます。
 さて和歌山市にある田村喜道塾は昭和36年に開塾し現在に至っています。700人を超える生徒を送り出し、その中には教育者になっている方もいます。発足当初から子どもたちに考える力をつけるために、素早く解く計算問題を行っていました。現在では脳科学が理論化されていますが、先生の経験と勘でこの方式の計算問題を取り入れていたのです。

 先生はこの実践経験に基づき、平成14年からプログラムの開発に着手しソフト化を図りました。平成16年10月に完成し、枡計算と数式計算と名づけられたこのトレーニング方式がソフト化されています。
 脳を鍛えるのに最適な素早く計算の目安は2分間で問題を解くことです。このソフトでは、簡単な加減乗除の問題は100問を2分で解きます。やや難しくなると60問を2分で解くなどレベルに応じた問題を無限大に作成してくれるので、飽きがこないで朝から簡単に計算問題に取り組むことが出来ます。この方式を取り入れたら、読み書きに加えて計算も家にいながら実施できます。
 一番良いのは公教育で取り入れてくれることで、子どもたちの基礎能力向上につなげられます。広島県尾道市立土堂小学校陰山英男校長先生は、兵庫県山口小学校の教員時代に百ます計算を取り入れ実績が検証されています。その他にも、枡計算と数式計算により痴呆症の改善効果も見られますから、高齢者の精神的健康のためにも導入する意味はあります。現役世代でも朝起きてからの2分間、このトレーニングに時間を割くことで頭が冴え、能力向上の基礎を作れます。

 学問とは既存の常識を疑い覆すこともひとつの意義です。今取り組んでいないからしないではなく、脳科学の分野の研究が進んだ現在、今までの常識が常識でなくなりつつありますから、良いツールはいち早く取り入れて人間的な教育レベルを高めたいものです。

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