111.2点目の攻防
 和歌山県に住む木村竹志(旧姓石井毅)さんは元箕島高校のエースで、甲子園春夏連覇を果たした時の優勝投手です。卒業後社会人野球の住友金属に進み、ここでも日本一に輝いています。その後西武ライオンズに進み日本シリーズ優勝も果たしています。西武時代には、工藤公康投手と共にアメリカ独立リーグのサンホゼに野球留学をした経験を持っています。
 アメリカの独立リーグはプレーの他に、観客を楽しませる工夫をしているそうです。ボールボーイの変わりに豚が審判にボールを持っていく、イニングの途中でダンスタイムや地元の音楽演奏を行うなど、地元の球団意識を植え付けています。独立リーグでも観客は入っているところに日本で導入する上でのヒントがあります。和歌山でも皆さんにチーム会員になってもらうことや、地元高校の有力選手が独立リーグ進むことで地域での一体感が醸成されます。
 木村さんは全ての段階において実績を残しています。その秘訣は熱意と目標を掲げそれを諦めないことにあります。高校野球はわすが3年で甲子園出場を果たさなければなりませんが、その3年間熱意を持ち続けられることが実現の条件です。社会人野球も3年間でしたが、プロに入るまでの期間に日本一を目指して熱意を持ち続けた結果が出ました。
 木村さんが関わることで、和歌山に独立リーグを持とうとする夢が実現する可能性が高まります。野球を通じて子ども達を成長させようとする取り組み「夢クラブ」の設立や、バットの材料となるアオダモの木の植樹、アジアの少年野球チームとの交流など、裾野を広げる活動を展開しています。
 最近、和歌山県新宮市にアジアの少年野球チームを招待し国際大会を開催しました。
新宮市では、元西武ライオンズの小田投手が少年野球の指導を行っていることから連携をしたものです。大会では約400人が新宮市にやって来て宿泊したように、地域振興面でも効果があります。
 少年野球ではアジアとの交流は盛んで、今年の夏だけでも200チームが台湾遠征を行っています。お互いが行き来することでレベル向上と地域活性化が図れ、文化の理解にも役立っています。スポーツの交流により間接的な効果が発生しています。台湾から何度も来ている指導者の中には、日本に来て和歌山以外に行ったことがない人もいます。それ程、地域として交流することで親密度は高まります。
 和歌山県の野球文化の裾野とレベルは高いものがあり、決して他府県に負けてはいません。大学の強豪校である東北福祉大学の監督は星林高校出身ですし、高校野球の名門である宮崎県の日南学園の監督も和歌山県出身です。指導者も和歌山県から県外に流失しています。人脈と温暖な気候により、アマチュア野球のキャンプ地として誘致する可能性もある訳です。
 世界遺産の地で野球の試合をすることも話題を提供できますから、和歌山県が持つ地域性と野球文化、地域資源を活用すれば独自のチームが出来ます。活躍した選手への報償として、有田みかんの提供や地元ホテルの宿泊券提供も実現可能ですから、地域性が発揮できます。
 夢を持つことで実現の一歩を踏み出すことになります。
 
 先日、25年前に延長18回を戦った石川県星陵高校と箕島高校のOB戦がありました。
 木村さんは当時を思い出して、1点とられても2点目を与えないことが大切なことだと話してくれました。2点取られると気持ちが切れてしまうのと、相手がリラックスするので打たれる確率が高くなるからです。大事な1点の攻防となる緊張した場面では、相手も余分な力が入りますから打ち損じの確率は高まります。投手として一番いやなのは点差が開いた時の登板だそうです。それは、人はリラックスした中で最も実力が発揮できるからです。
 少し不利な状況にあっても、次のポイントは絶対に取るという気持ちを持つことです。気持ちを持つことで状況は変化します。

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