92.今を生きる
 人が生きる意味とは何なのでしょうか。生を受けてから人は死に向かって走りつづけています。その中で愛情に見守られ、人格を形成し、強さと優しさを身につけて自分の人生を理想の姿の完成に近づけています。目的を達成する、しないに関わらず、やがて老いが忍び寄ってきます。一人で出来ることは限られています。誰もが色々な形でこの世に貢献し、ほんの少しずつ世の中を前向きに転がせます。

 しかし折角、苦労して身につけたものを持っていくことはできません。その先に向かって経験や知識、技能を次の世代に申し送るのです。そうすることで、たとえ姿を消しても私達の志は生きることが出来るのです。
 今私達の周囲にある人工のもの全ては、かつて生きた人達の意思が形になったものです。それらを土台にしてまた私達が基礎を築いていくのです。どれだけ社会の基礎を積めたのは関係なく全力で関わったことが尊いのです。
 自分がどんな形で社会に関わっているのか、貢献できているのかを時々確認することが大切です。自分の周囲や自分の属する組織だけの利益を考えた行動はやがて行き詰まります。社会全体の正義となっているのであれば迷わず行動することです。誰でも永遠に強者ではいられません。小さくて弱い立場であった時がありますが、誰かが優しく守ってくれました。やがて両親を追い越すほど社会的な立場は強くなります。そしていつの日にか、次の世代に全てを譲り渡し弱い立場に戻っていきます。その時、優しく見守ってくれるかどうかは自分がとって来た行動次第です。どんな権限をもっていても、一人で生きるのは弱いものです。弱者の視点に立って考え行動したいものです。

 年齢を重ねると人生は短いことに気づきます。朝、目を覚ます、好きな本を読む、働くなどという簡単なことを簡単に出来ていることに感謝すべきです。
 私達は今を生きているのです。理想の未来を生きているのではないのですから困難に当たるのは当然です。先の世代が全力で生きたその姿は今の私達の心に残ります。今ある平和な時代は先人からの贈り物です。物事を短いスパンで考えては駄目で、やがてこの世の主役になる次世代の未来のために、先の人達がそうしてくれたように今出来ることを全力で実行すべきです。
 今までの人生経験から生きる意味とは何かと問われたら、答えは「誰のものでもない、自分の今を全力で生きる」ということです。それ以外に人生の目的が何なのか、何の意味があるのかは良く分かりません。
 過去も未来も生きられないのですから、この瞬間に全力を尽くすだけです。でもそこから未来は生まれるのですから、今を全力で生きることだけが未来を築くのは間違いのない真実です。そして未来のその先にあるものは何なのか分からないから、人生は面白いのかも知れません。

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