68.まちの文化
 味覚は地方都市の保守性を図る上で大切な指標です。視覚に異常があっても生きていけますが、味覚に異常を感じたら生命に関わることになります。毒物を食べたら死にいたるケースがあることから味覚が正常であることの重要性が理解出来ます。
 味覚と保守性の関連ですが、味のレンジ幅の広さで分かります。味のレンジ幅が広ければ革新的、レンジ幅が狭いと保守的となります。
 ラーメンに当てはめると、味覚では塩味も辛口も激辛もある、麺ではちぢれ麺も細麺も太麺もあるのがレンジの広さを表わします。住む人にとってラーメンを食べるのに、幅広い選択肢があると食で冒険ができます。今日は午後契約を取るためにがんばるから激辛ラーメンを食べよう、今日はあっさり味にしようとライフスタイルに応じて味を選ぶことから新しい感覚になります。
 ところがおいしくても、全て同じ味の範疇のラーメンだと保守的になります。このように味覚のレンジ幅が狭いと、冒険心がなくなり考え方は保守的になります。元気のあるまちはラーメンの味のレンジ幅は広いのが特徴です。

 他にもまちを知るための指標があります。看板やネオンの種類、まちの色、デザインなどがそうです。使用する字体が明朝体やゴシック体が多い、或いはデザイン的にも看板のセンター合わせばかりだと、無難ですが冒険をしない性質で保守的といえます。

 良いものは多数派の迎合から発生した例は全くありません。デザインでも食べ物でも先進的なものは少数の取り組みから始まります。保守的な地域では、先進的なものが生まれても受け入れません。先進的なものを生み出し育てるには地域の文化度がある程度高いことが条件です。衛星都市ではセンスのある人たちは都会へ行きますから、益々個性がなくなります。その地域から発生したものは地域で受け入れる文化度が必要です。「よくやるよ」「なんて格好」の感覚がすごく大切です。異分子がまちにあると突然変異を起こす可能性があります。右へ習への地域性からは新しい気風は生まれません。

 まちを見る指標の代表例を三つあげます。第一に女性の靴、次に洗濯物、第三に女性のカバンです。駅前に靴屋があり女性ものの種類が豊富なまちは元気があるまちです。女性が様々な靴を履いているのは、女性の社会進出があり多くの生活スタイルがあるまちであることを意味します。
 理由は、女性が演じたい自分を演じられているのは靴を見たら分かるからです。
 仕事でがんばる時の靴、パーティに行く時の靴、オフを過ごす時の靴など、おしゃれは靴からと言われるように女性は状況に応じて靴を変えます。様々な靴を履いている女性がいるまちは活気があること示します。保守的な考え方から脱却し進歩的に向かうには苦労を有します。他を受け入れる態度と冒険心を持ち、文化度を高めることから始まります。

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