67.NPO法人の考え方
 NPO法人の社会的背景は、生涯学びつづけることを求める、自分が何をしているのか分かる環境を求める、能動的に社会に関わることを求める、ことにあります。この欲求を体現するのが新しい人間でありイコール市民といえます。その市民を受け止める組織体がNPOです。地域にいるだけの人を住民と呼び使命を別と考えます。
 市民の自治と民主主義の水準とまちづくりは正比例の関係にあります。民意以上の市にはならないのです。NPO法人とは人=市民づくりのひとつの形態ともいえます。

 言うまでもないことですが、NPOは民間非営利組織(Non Profit Organization)と訳されています。NPO法人が直面している課題は「清く、正しく、貧しく」では活動が長続きしないことです。NPO法人のNはNonではなくNewと読み替えて、新しい利益を生む組織と捉えないと活動する体をなしません。経営感覚を持った組織運営が必要ですし、経営を確立するために収益事業とする必要があります。

 世界では既にNPO法人は専門家集団となっていて、経営感覚を持った人たちが運営しています。事業計画をしっかりと持ち、収益性を追求するNPO法人でないと未来はありません。日本のNPO法人が欧米比較して明らかに劣っている能力が政策形成能力で、知のインフラ整備を行う必要があります。
 一方行政は、行政改革を進めるためにはNPO法人と協働することが必要です。
 具体的には、NPO法人と仕事をする場合は一緒に汗をかくこと。行政とNPO法人の協働とは、契約における甲と乙の関係ではなく、行政に欠けている専門性を補完してもらうための協力者と意識することです。
 次に十分な委託料を支払うこと。NPO法人も仕事をすればお金を貰わないと生活ができません。行政の補完を無料でするボランティアではないのです。行政には、NPO法人はボランティア組織との認識があるため、お金を支払いする意識が欠如しています。
 そして、NPO法人を下請けと思わないで政策推進のためのパートナーとの姿勢を持つことです。行政が多用する最小のコストで最大の成果をあげるためには、NPO法人と市民の協力が不可欠です。専門家集団であるNPO法人と協働することが、行政改革を進めるために不可欠です。政策提言や指定管理者制度導入に当たってもNPO法人の存在を無視することは許されません。能力のあるNPO法人と行政はパートナーを組むべきです。ここには、過去あったような政治家の口利きや利害関係は役立ちません。

 地域づくりは人づくりと同義語です。お金ばかり優先させて人材育成を怠ると将来にツケを回すことになります。組織にはマネジメントできるリーダーをトップに据える必要があります。どのようなリーダーがいるかによって、構成員が同じでも組織は変わります。幹部に全体をコーディネートできる人材を抜擢すれば、意識改革を達成することが可能です。実現しない報告書は作っていては活性化しません。計画など策定する委員には責任を持ってもらうことです。報告して終わりでは駄目で、達成するまで計画に関わってもらい、達成できなければ報酬の返還を求めるくらいの真剣さを持つべきです。
 紀州人の特長は、反骨精神があること、真摯の気風があることの2点です。和歌山市民も行政も実力を出し惜しみしないことです。いつの時代も改革は、小さいところ、遠いところ、弱いところから起こっています。

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