27.環境をつくる
 お世話になっているある幼稚園の先生は、もう30年ほど幼稚園経営を行っているので、最初の卒業生たちは40歳を超えています。
 長年、多くの子どもたちと接する中で気づいたことがあると言います。それは勉強の成績よりも、明るくて活発な子どもが社会で成功していることです。人にはそれぞれ個性があるので、大人は人と同じレールに乗せることを目指すのではなく、適正を発見し、その道を自然に歩ませてあげることが大切なことです。好きな道を選んだ子どもと、周囲が決めた道を歩いた子どもは、社会に出てから違いが出ます。

 同窓会に呼ばれて出席する機会が多いようです。同窓会では、最初は首席だった子どもが幹事をするのですが、二回目からは様相が変わります。二回目の幹事は、一度同窓会で顔を合わせているためお互いの今が分かっているので、社会でリーダーシップをとっている人がその役を担うことが多くなります。リーダーシップは、学業成績と正反対の傾向にあるそうです。
 社会で努力を重ねて自分の会社を経営している人や、商売を成功させている人がリーダーの素質を開花させています。成績優秀で公務員や大企業に入っている人は、リーダーの発想はないようです。
それは、まだ40歳程度でトップになることは少ないため、仕方のないことかも知れません。その人の努力に加えて社会環境がその人を育てます。
 
 子どもの頃の勉強する環境は、両親や周囲が作ってくれます。勉強する環境にある子どもは成績が向上します。自分で勉強をする環境を作れる訓練が出来ていると、大きくなっても自分が向上できる環境を作れます。社会に出ると、周囲は勉強出来る環境を作ってくれません。自分で何が必要か考え、仕事や勉強が出来る環境を自分で作らなくてはなりません。
 与えられた環境で優秀な人よりも、自分で向上出来る環境を築く人の方が、社会で伸びるのです。10歳代から20歳前半の頃の知識が通用するほど、社会は甘くありません。 
 その頃トップランナーであっても、その後勉強を続けないとアドバンテージは直ぐに無くなります。今や学歴や肩書きを、人は額面通りに信用しません。一緒に仕事をする中で、その人の実力と信頼出来るか否かを見極めます。
 計画や戦略をたてる、プレゼンテーション資料を作るのは、実務に精通している若い人が携わることが多いのです。新しい理論を取り入れる姿勢も若い人は持っています。勉強出来る良い環境は若い人の周囲にあります。そうでないなら、進んで環境つくりから始めなければなりません。

 努力出来ることも才能のひとつです。あきらめずに地道に努力を続けられる人が、社会で成功するのは当然の帰結です。

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