26.感情語と論理力
 手づくりの絵手紙を趣味で描いている方がいます。絵手紙を受け取った方と話をする機会がありました。手作り葉書を受け取ると、印刷物の手紙ではない嬉しさを感じると言います。暖かい絵柄を見るのも当然良いのですが、それ以上に自分宛に書いてくれている時間を受け取れることが嬉しいと話してくれました。葉書を描いている時間は、差し出す相手のことを思っています。つまり、自分のために時間を割いてくれている気持ちに、感謝したくなることだと言えます。作品と共に気持ちを受け取ること、送り手からすると自分の気持ちを相手に伝えることになります。気持ちを伝える手段としてメールがあります。
 メールは文字なので、言葉のように率直な気持ちが伝わりません。確かに客観的な情報は伝わりますが、顔を合わせていないため心情部分の表現は難しいのです。そこで絵文字の活用があります。しかし、感情だけの表現や絵文字での表現は論理的でないので、私は余り使いません。
 でもある人から、絵文字は心情を伝えるツールとして優れているので、メールでのコミュニケーション手段として活用すれば上手く気持ちを伝えることが出来る、とアドバイスを受けたことがあります。
 確かに、絵文字のメールを受け取ると、上手く感情表現をしているなぁと思います。言葉では伝わらない部分を補っています。手づくり葉書の絵のような役割です。手で書くのもメールの絵文字も、作者の気持ちを伝える手段として優れています。
 上手く活用すれば、言葉の裏にある自分の気持ちを相手に知らせることが出来ます。

 しかし、注意が必要です。感情語は端的に気持ちが伝わるのですが、論理的ではありません。「感動した」「むかつく」などの表現は、一言で気持ちを伝えることが出来ます。でも論理的でないので、何がどうしてそう思っているのか分かりません。感情的な議論では、お互いに平行線のままの状態となります。
 真にお互いに分かり合うためには、話し合いの中での論理構成が必要です。ここで絵文字は役に立ちません。

 感情語全盛です。上手く使用すれば気持ちを伝えるのに効果的ですが、感情語連発では論理的な考え方が退化します。筋道を立てて物事を考えるくせをつけておかないと、日本語力も低下します。
 訓練のひとつとして、優れた文学を読むことが効果的です。言葉遣いは時代背景により異なりますが、論理構成は同じですから良い訓練になります。情報は何時でも好きなだけ入手出来る時代ですが、受け手でいる限り論理的な思考は出来ません。自分で読み書きすることだけが論理力を高める方法です。
 論理構成力を持ち必要に応じて感情語を使うことが、日本語で考える時の基本です。

コラム トップページに戻る

前のコラムへ   /  次のコラムへ