28.スピード
 社会経験を重ねた人から見ると、若い人たちは頼りなく見えるようです。だから次の世代は、経験を積み成長するまで経験者に頼ることになります。でもそうすると、次に続こうとする人たちが経験を重ねる機会を奪うことにもなります。引継ぎのタイミングはとても難しいものです。マニュアルはありませんから、リーダーの判断と次を支える世代の資質に左右されます。リーダーは上手く自らの経験を伝えることが必要で、次世代の人は経験者から経験を学び取る姿勢が求められます。お互いが補完しあえる関係があって初めて世代交代は図られます。

 地方の政治にもスピード感覚が求められています。役所の外からの要望や意見の採用可否を素早く判断する、役所内の仕事は速やかに処理する。社会や民間企業のスピードに対応していかないと、地域は停滞から脱することは出来ません。
 スピードとは、意思決定し意思表示するまでの時間の短さであると認識しています。意思決定出来ないのは「スピードが遅い」までも到達していない状態で論外です。
 意思決定しても意思表示出来ないと周囲に伝わりません。自分が内心で思っている状態では何も変わりませんから、これもまた評価はされません。
 意思決定から意思表示までの時間を短縮することが仕事の質を高めます。周囲を巻き込んでのスピードアップは組織の文化にも左右されますが、自分がスピードアップすることは一人で出来ます。まず自分がスピード感覚を身につけることです。

 仕事を誰のためするのか、それを誤ると仕事はおかしくなります。自分たちの仕事を楽にしようと考えるなら、要綱、基準通りに進めたら良いのです。基準類は良く出来たもので、イレギュラーな事例を排除するための理由が列挙されています。
 時代が変わって、今までの事例がおかしくなり変える方が良い場合でも、基準通りに判断すると適用除外となります。これでは進歩はありません。
 仕事はお客さんや市民のためにすると捉えるのであれば、極力要望に応えるため出来る方向に基準類を拡大解釈します。これにより実施可能な事柄が増え周囲に活力が出ます。

 いつの時代でも法律や基準類は時代の後追いで改正されます。時代が変わり、社会に新しい価値観が芽生えたのを受けて法律や基準類は改正されます。まず基準類に従った運用をする、社会の変化に対応できなくなっていると感じたら拡大解釈する、例外が多くなり基準類が適用出来なくなると、改正が必要となります。
 誰の目線で仕事を行うのかにより、基準類の解釈は異なります。時代に合った解釈をするためには、違う立場の人の意見を聞く姿勢を持ち、それまでの常識に囚われない判断をすることです。
 リーダーはスピードと、生活者が求めているものを感じ取るセンスが必要です。

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