21.470ヨットと
    夢が持つ可能性
 和歌山マリーナでトレーニングキャンプを張っている、470級ヨット競技ナショナルチームの吉迫・佐竹ペア。練習の光景を間近で見ることが出来ました。
 乗船したボートの速度は約6ノットですが、上下に激しく揺れ、体感速度はジェットコースター並です。ヨットの速度はこれを上回る約8ノット、私たちのボートの先を力強く走ります。スピードに加えて、風向きや強さの変化、波の高低な

(和歌浦での厳しい練習)
ど瞬時に状況判断が必要ですが、抜群のスピードとコース取りで走行します。

 ヨット競技は、観戦するのとは全く別のもので、決して優雅ではなく激しいスポーツです。競技には、体力と自然状況に応じた技術が求められます。さらに、海は常に危険が潜んでいますから、精神力と状況判断力がより求められます。自然を相手にするときは、一瞬の気の緩みが命取りになりますから、強い精神力を持続させる必要があります。冬の海は精神力と技術を磨くのに適しています。
 
 470級ヨットレースの世界選手権では、一周に約1時間30分要す競技コースを一日に3レース行い得点を競います。単純に記すと、8ノットの速度で4時間30分間ヨットを操りますから、如何に体力と精神力が必要か分かります。しかも自然と他の選手が相手のタイムレースです。自分と競技相手と自然に向かい合い、勝たなくてはなりません。想像以上に難しい競技です。

 冬の海に出ると、寒さと強風、船の揺れなどで立っているだけでも大変です。自分が体験することで、競技の難しさとレベルの高さを実感することが出来ます。第三者的に解説するのは簡単ですが、自分が体験すると、何故前のヨットに追いつけないのかなど言えません。
 和歌山市の海で、ナショナルチームによる練習が行われるなど、今までになかったことです。世界クラスの選手が、和歌山市の海を評価しています。オリンピックを目指して厳しいトレーニング重ねている海が、和歌山市にあることに自信を持てば良いのです。

 世界トップクラスの方に触れられるのは貴重な経験です。単語で並べると、精神力、努力、気力、高い技術、熱意、夢、生きがい、目標、全力などを感じ取れるとなります。近頃私たちの日常生活の中で、聞くことが少なくなっている言葉です。最小の努力で最大の結果を求める、合理的考え方に支配されつつある世の中です。
 自分の持つ可能性に挑戦している人と接することで、忘れかけていた思いを取り戻すことが出来ます。大切な気持ちを受けとることが出来たら、後は自分で再び夢を育てなくては意味がありません。日常生活の中で、少しでもかつて描いていた夢の可能性を信じた行動を起こしたいものです。

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