20.世界に挑む
 和歌山からヨット競技でオリンピックを目指している人がいます。吉迫・佐竹ペアです。
 しっかりと練習する環境が得られるため和歌山市の海で練習しています。一ヶ月に2日だけの休日ですが、目指すものがあるため頑張っています。
 ヨット競技の良いところは、自分の弱さを振り返れる状況に置かれることです。
競技では結果を出さなくてはなりませんが、体力と気力が限界に達した時、やり遂げたいのに、やり遂げられない自分の弱さを感じます。良い成績を残せたら成功と言えますが、成功すれば結果という形が残ります。形になればそれまでのことは苦労ではなく、単にプロセスになってしまいます。プロセスになったら、次の苦労にも挑戦できます。
 一流の人は苦労を苦労と感じないようですが、一般的には、苦しいことは苦しいのです。会社勤めをしながらヨットをしている時は、負けたら仕事のせいにしていたのです。仕事があるから十分な練習が出来ないと。ヨットに専念するため会社を辞めたのですが、そうすると練習ばかりで苦しく、会社を辞めなければ良かったと思ったそうです。結局、それはないものねだりなのです。自分がやりたいことをやっているのに、楽しめなければ何事も変わらないのです。
 
 失敗から学べることがあります。ベストを尽くして失敗したら、何が不足しているのか目標が見えます。明確に目標を持ち、課題克服のため練習に取り組むと、雲をつかむようなことが現実味を帯びてきます。つまり、今まで出来なかったことが出来るようになります。成功か失敗か分からないことでも、練習しないと分かりません。仮にやらなくて良かったことでも、試して初めてやらなくても良かったと分かるのです。

 彼女達と話をすることで、少しですが世界を目指すことの大変さが理解出来ました。
 合格率3%程度の難関国家資格と比較すると、世界の厳しさが理解出来ます。3%の合格率は大変な難関です。受験者数にもよりますが、1,000人の合格者数とします。つまり一番でなくても1,000番でも合格できるのです。仮に最下位でも司法試験に合格し弁護士資格を得たら、それで世間は弁護士だと認知してくれます。
 それと比べて世界で戦うことは大変です。ヨット競技で世界ナンバー1,000だとしたら、誰も相手にしてくれません。恐らくトップ10に入らないと実力を認めてもらえない筈です。  
 資格試験と比べると、世界を相手することがどれだけ大変か分かります。繰り返しますが、難関資格でも1,000番目に入れば良いのですが、競技の世界では、世界で1,000番目では全く話にならないのです。上位10番に入ることが求められる厳しい世界です。

 目標を持ち、失敗してもあきらめないでやり遂げる。平坦な道はありません。苦労を単なるプロセスに変えるまで努力することが、遠いけれど夢を実現する最短の道なのです。

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