19.感じるままの
    現実を大切に
 テレビのデジタル映像は、現実をリアルタイムで映していないことを知っていますか。デジタル映像は、アナログ世界の出来事をデジタル変換して通信し、デジタルに変換したデータを再度アナログに変換しテレビで表現するため、実際の出来事が少し遅れて映し出されます。だから私たちがテレビである出来事を見た時には、現実の世界では既に終わっているのです。

 デジタル映像がその瞬間を伝えていないことを感じるには、野球や相撲の中継をテレビとラジオの両方で確認することです。野球の場合、ラジオでは投手がボールを投げ打者が空振りしたとします。その時テレビ映像では、投手がボールを投げる瞬間を映し出しているため、打者が打ったのか空振りしたのかは未だ分かりません。
 相撲の場合、ラジオでは片方の力士がわずか1秒で寄り切り勝ったとします。テレビ映像では、立ち合いの瞬間を映し出しています。テレビでは、勝負の結果はまだ分からないのです。

 ラジオとテレビで同じライブ中継を確認すると、このように時間差があるのです。デジタル映像は、私たちに今この瞬間を見せてくれないのです。今、目の前で起きている出来事は、既に過去となっている出来事を映し出しているだけです。私たちは、テレビを通じて過去に起きたこと、つまり今の現実では無いものを見ているのです。

 デジタルCDは音域20万ヘルツ以上の音はカットして録音しています。人はこれ以上の高い音は聞こえないので、カットしても影響はないのです。でも、CDとライブでは音が違うと感じたことがあります。音に違いはないのにどうしてでしょうか。
 それは、二つ以上の音が重なると「うねり効果」が発生することです。うねり効果とは、二つの音域の差は聞こえる現象です。20万ヘルツの音は聞こえませんが、15万ヘルツの音が同時に演奏されると、その差の5万ヘルツの音は聞こえるのです。ライブでは、このうねりの音が聞こえるから臨場感があります。人に聞こえない音でも音楽を構成する要素です。主役となる音も脇役の音も全てあるから良いのです。

 人は何事も、自分が感じるままに表現することが自然です。思うことや、やりたいことを素直に行動できるのが本来の姿です。明治維新は歴史の転換点で、様々な要素が重なり合って成功しました。当時の若者たちが、おかしいと思ったことを正すために素直に行動したことが歴史を動かした大きな理由だと思います。こんなことを言ったら怒られるだとか、言わないほうが得策だなど内心持っていたとすれば、行動までは至らなかった筈です。

 社会がおかしいと感じ、自分の思うまま行動した若者たちがいたから社会は変わったのです。現代社会は、他人を気にする余り自然のままの行動を起こせないでいます。自分が正義だと思うことでも行動できないことが、社会の閉塞感を増している原因です。
 自分の思いを実現したいという気持ち、それを自然な姿で行動したいものです。

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