平成18年12月6日(水)
B.平成18年12月
 和歌山市議会一般質問(1)
  再々質問内容・答弁
(1)保健衛生行政について再々質問

 第三問をさせていただきます。
 今までの答弁を受けて、考え方の異なる二つの解釈を行いますのでお聞き下さい。かつて私が司法試験を受験した時のことや、模擬試験、いわいる答練を思い出しながら構成を行いましたので、違いをお聞き下さい。まず最初に、市の下した見解を、市民の皆さんに説明するとすれば、次のようになります。

(市の見解)
 食中毒を発生させたのは4階厨房であるため3階の厨房を使用して料理を提供することに関して何ら問題はない。食中毒の発生は4階厨房にあるのだから、別の厨房を使用すれば食中毒発生要因を排除したことになり問題はないと考える。
 食中毒を発生させたのは厨房に原因があるだけで、客席は飲食を提供する場であることから食中毒には何も関係はない。ホテルでは営業停止命令に基づいて4階厨房の営業を止め、3階の厨房を使用して料理を行っているため、これ以上の停止命令をすべきではない。
 また食中毒を発生させたことに伴い、保健所から営業停止命令を受けただけでも社会的制裁を受けていると判断すべきであり、営業の自由の権利を尊重し行政権の及ぶ範囲は小さく解釈すべきであると考える。
 憲法第22条と第29条によって保障されている営業の自由は、私たちに供与された大切な人権であり、食中毒を発生させたからといって営業を停止するまでの強制力はないと考える。
 食中毒を発生させた4階厨房を使用しない限り、店舗営業は継続しても何ら問題はないと考えるべきで、食品衛生法に基づく行政の権限は、店舗そのものの営業を停止させるまでの命令権はなく、あくまでも厨房の使用を止めるだけの命令権があるだけである。
 仮に営業そのものを停止するとなるとホテルでは多大な営業損失と信用低下を招くため、食品衛生法ではそこまでは求めていないと解されるため、別の厨房を使用する限りにおいては、営業停止命令を受けたとしても宴会場の営業することには何ら問題はない。

 次に市民の安全を守るための立場に立った見解を示します。

(市民の立場での見解)
 食中毒を発生させたのは4階厨房であるが、同一建物内の3階の厨房を使用して料理を提供することには問題である。確かに、食中毒を発生させたのは4階の厨房であるが、食品衛生法に基づく社会的責任を負うのは経営者である。つまり経営者は食品管理の責任を負うものの義務に違反したものであって3階厨房を使用しているからと言って店舗営業を継続しても良いと言うものではない。
 仮に営業が認められたとしても、現在の社会環境に鑑みると、社会に影響を及ぼすような事件を起こしたものは社会的責任を負うべきである。今回の事例では、食中毒を起こしたことに関して営業そのものを停止することが社会的責任を取ると考えるが妥当である。

 憲法第22条と第29条によって保障されている営業の自由は、私たちに供与された大切な人権であるが、営業の自由と言えども憲法第12条、第13条の公共の福祉による制限を受けるものであることから無限ではない。従って営業の自由の権利であっても公共の福祉によって制限されるべきであり、食中毒を発生させたホテル宴会場の営業は認められるものではない。

 また食品衛生法の主旨は、食中毒を発生させた責任者に対して単に当該厨房の利用による営業を停止させるとするものではなく、責任者の反省、社会的責任を求めることにあると解するべきである。食中毒を発生させても店舗の営業を継続させるのでは、社会的責任を負っているとは言えない。営業停止命令を受けても宴会場の営業を止めるものではないとするならば、営業停止命令自体全く意味をなさない。そればかりか、飲食店経営者にとって食中毒を発生させたとしても、厨房の使用を止めるだけで営業は継続出来ると思わせた場合、全く食品衛生意識は高まらず、衛生管理に対する抑止効果もなくなるので法律そのものの存在意義はなくなる。
 結論として、食中毒を発生させた宴会場の営業を停止すべきと解するのが妥当であると考える。

【質問】
 先の解釈が和歌山市の見解に基づくものであり、後者の解釈が一般的な飲食関係者の見解に基づくものであると考えて、私なりに論文構成をしたものです。簡単に言うと、先の市役所の見解は、商人の立場に立った経済優先の考え方。後の見解は市民の安全を確保するために公共の福祉を優先する立場に立った考え方です。

 このようにトップの判断により、食品衛生法の解釈の仕方により全く違った解釈をすることが可能ですが、飲食店営業によるサービスを受けるのは私達市民です。市役所として、市民の健康や安全を守る立場にあれば、どちらに納得性があるのか市長には良く考えて欲しいと思います。
 これらの食品衛生行政に関する市長の見解は如何でしょうか。お答え下さい。
 以上で一般質問を終わります。ご清聴ありがとうございました。


【再々質問答弁】
大橋市長
 食品の安全性を確保し市民の健康を保護することは、市として極めて重要な業務と認識しているところです。食中毒の発生等、食品衛生法の違反に関連する情報を探知した時には直ちに調査および検査を行い、食品衛生上の危害拡大防止、原因の速やかなる除去等を行い公衆衛生の安全保持のため営業者に対しては厳正かつ適正な処分の実効に努めています。今回の一連の経緯の中で、食品衛生法の精神に反すると飲食関係者の皆さんに誤解を招くような運用が行われたとすれば、これは私の思いに反するものであり、今後とも業界の皆様のご協力をいただきながら、市民の安全性の確保を最重視し、公平公正な保健衛生行政の遂行に努めていきます。
 以上

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平成18年12月 和歌山市議会一般質問について


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