800. 笑顔と挨拶

飛行機に乗り目的地に到着し降りる際の出来事です。乗客が降りる時にはキャビンアテンダント(以下CAと記します)は、一人ひとりに「ありがとうございました」と声をかけてくれます。普段、私は小さい声で「ありがとう」と反応しています。
札幌市に行った時、新千歳空港で降りる時に、私の後にいた人がCAの「ありがとうございました」の挨拶に対して、「ありがとう。こちらこそ楽しい旅でしたよ」と大きな声で挨拶を返したのです。
 それに対してCAは「ありがとうございました。良い旅になりますように」と笑顔で再びそのお客さんに挨拶をしていました。何気ない挨拶の応酬でしたが、とても嬉しい出来事でした。
 小さな声で挨拶を返しても、そこに帰ってくる言葉はありませんが、大きな声で一言添えると明るい声で挨拶が戻ってきます。CAは全てのお客さんに挨拶をしていますが、お客さんの挨拶に返答する二度目の挨拶は、その人にだけ返す挨拶となります。
 お客さんにとっては、仕事先に向かう際に元気の出る嬉しい出来事となります。CAにとっても形だけの挨拶をしていく人や無反応のお客さんと比較して、きっと嬉しい出来事に感じていると思います。お互いの元気な挨拶が、どちらも喜びあえて元気になる関係を築けているのです。
 挨拶の効用、そして挨拶は本当に意味のあるものだと実感した瞬間です。目的地での仕事を元気にさせてくれますし、挨拶に添える一言は意味の持つ言葉になります。

 何故、飛行機を降りる際に、大きな声で挨拶できないのでしょうか。
「他のお客さんとの距離が詰まっているため、挨拶することに気が引ける」、「自分一人に向けられたものではないため、挨拶を返す必要性が乏しいため」。そんな理由が考えられます。しかし、そんなことのために気分の良い旅になる機会を逃しているのだったら、もったいないことです。
 CAの笑顔が良いのは、鏡を見て練習しているだけが要因ではありません。毎日、多くの人に「ありがとうございます」の挨拶をしているからです。「ありがとうございます」の挨拶を行う機会が最も多い職業のひとつがCAかも知れません。挨拶を行うことが多い仕事は輝いていますし、人から憧れられる仕事になります。
 自然に、そして素直に「ありがとうございます」が言える人は、表情も言葉も、そして行動も素敵になっています。そして素敵な挨拶に接した時に、元気に挨拶を返すことのできる人も、挨拶に囲まれた素敵の毎日を過ごしていると思います。
 挨拶の連鎖は周囲を変えていく力を持っています。札幌市から関西空港に戻る際、飛行機を降りる時にはいつもよりも大きな声で「ありがとう」と挨拶を行いました。
 勿論、CAから笑顔のプレゼントがあったことは言うまでもありません。挨拶と笑顔で出張は完結しました。


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