792. 店内の幸せ

和歌山市和歌浦にある中華料理店。このお店がおいしいのです。お店の方達の人柄もとても素敵なので、近くに行った時には立ち寄ります。尤も、最近は座って食事をする時間が殆どないので、立ち寄るのは数えるほどですが。ある日の夜に立ち寄ったところ大歓迎してくれました。
丁度、お店の前に車を止めた瞬間、携帯電話が鳴ったので車中で話しをしていたのですが、バックミラーを見ると不審のような表情でお店の人が見ていたので車から降りて、電話で話しながら店内に入りました。
電話を切った後、「うるさく入ってきてすいません。不審な車が入って来たと思っているような感じがあったので話しをしながら入ってきました」と挨拶をしました、
ところが「よく来てくれました。片桐さんの車だと分かっていたので、入ってくるのを楽しみに待っていたのですよ」という返答でした。とても嬉しいものでした。そして続けて「いくつも飲食店があるのに、わざわざ遠いのに来てくれてありがとうございます」と丁寧な言葉をいただきました。
「いつもご馳走になっているのはこちらですよ。おいしくいただけることに感謝しているのですよ」と返事をしましたが、ここのお店の皆さんとの会話はとても優しくて、ここで食した後は誰にでも親切になれます。
「最近は景気が良くないので、お客さんが減っているのですよ。そんな時に遠くまで来てくれることに感謝しています」とお店から。
「おいしくて、そして話をしていると幸せになれるから来ているのですよ。おいしく食べさせていただいて感謝するのはこちらですよ」と言葉を返しました。
「近所の○○さんも片桐さんのファンなのですよ。顔を合わせた際には、いつも話をしているのですよ。私達も勿論ファンです」と話してくれました。
「いつも沢山作ってくれているけれど、損しないようにして下さいよ。感謝している上に損させたら申し訳ないですから」と微笑みと共に答えました。
「そんなに喜んで食べてくれることが嬉しいのです。遠いのに来ていただいて、そしてお店を褒めてくれてありがとうございます」。

 如何でしょうか。お店の雰囲気が伝わりましたか。店内でこのような会話を交わせることが幸せなのです。暖かいこのような会話を幸せと呼ばないで何を幸せというのか、それ以外は見つかりません。幸せは日常の中に、出来事の中に潜んでいます。普段の言葉の中の幸せと感じられるものを発見する心を持ちたいものです。
 ご縁があって出会う人は、幸せと分け与えてくれるものです。手作りのギョーザ、食事を待っている時間に出してくれた暖かい珈琲、言葉から湯気が出るような暖かい会話。暫くそんな時間に浸っていました。
 一日の終わりに幸せを感じる会話ができたことに感謝しています。


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