789. 宇宙の夢

宇宙航空研究開発機構の上野精一チーフエンジニアが和歌山に来てくれ、宇宙に挑戦している今と夢を語ってくれました。本当に素晴らしい機会を得られたことに感謝しています
。  宇宙から見た地球の写真は失いたくない宝物のようにきれいです。太陽の光を浴びて暗闇から青色の地球が見えてくる瞬間の美しさ。宇宙ステーションから眺めた地球の白い雲と青い海の輝き。他に比較する対象がありません。
 真っ暗な宇宙に青色の地球が存在していることは奇跡であり、地球の外から地球を見た人は争いという価値観がなくなると思いました。映像を見て上野先生から話を聞いただけの私がそう思うのですから、この話は小学生や中学生に聞いてもらいたい位でした。
 もし人類の半数以上の人が宇宙に出て美しい地球を見たとしたら、戦争や争いは永久になくなると思います。それ程かけがえのない地球を意識することができます。
 地球はきれいだけれどもはかなくて脆い存在です。人類がこれ以上自我のまま活動を行ったとしたら、うつくしい地球は失われることになります。今だったら間に合います。今直ぐ地球市民としての意識を持ちたいものです。
 さて地球の上空400kmの位置に宇宙ステーションISSが存在しています。このISSは秒速8kmで地球と一緒に回っているそうです。不思議なことですがこの速度以下になると高度が下がるそうです。秒速8kmの速度でも徐々に高度が下がっているので、時々軌道修正が必要になっているのです。何となく不思議な感じがします。
 また地上400m上空がもう宇宙なのです。400kmというと東京と大阪間の距離に過ぎませんから、地球と宇宙は意外と近接しているのです。地球は特殊な存在ではなくて宇宙の中の地球なのです。このことは本当に不思議な感覚です。もっと言うと大気圏は10km上空までです。10kmを超えると空気が無くなりますから、そこはもう宇宙空間とも言えます。
 宇宙から見ると争い事は馬鹿らしいのですが、私達も困った時には10km上空の視点を持てば考え方が変わりそうな気がします。

 ところで日本では、月に人類を送る計画があるそうです。月に人を送り出すために必要な費用は20年間で2兆円から3兆円です。1年あたり1,000億円となりますから、この予算が必要なものかそうでないのかは国民の皆さんのコンセンサスが必要となります。さて理解が得られるかどうか、世論の反応は分かりません。
 ただ直接的に、宇宙開発に関して理解は得にくいとしても、地球環境問題と絡めると必要な予算となると考えます。宇宙から見る地球はかけがえのないものですから、宇宙に関心を持ってもらうために宇宙に関心を持つための教育を行い、そこから宇宙に人類を送り出す機運を作り出すことが早道です。
 県内に複数の天文台を抱えている和歌山県は宇宙に近い県です。和歌山県で宇宙教育を行う意味はあります。宇宙科学を理科系の分野と考えるのではなくて、地球環境の観点から文科系にも取り入れたい科目です。宇宙から地球を見ている観点を持つと、私達は宇宙的価値観を持つことができます。問題は高い視点を持つと見渡せますから解決が容易になります。地球上の問題を地球上の視点で見ると解決は困難でも、宇宙からの視点を持つと解決が図れるかも知れません。国境、人種、金銭、争いは見えなくなります。具体的事情を抽象化することで解決方法は見つかりそうです。
 困った時には心を宇宙に飛ばして地球上の問題を考えたいものです。無重力に心を飛ばすと心が軽くなったような気がします。


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