776. これが世界だ

世界を駆け巡っている西本智実さんが関西にやって来ました。2009年秋の全国ツアーを行っていますが、大阪市でコンサートが開催されました。案内をいただいたので夜7時からのコンサートに行ってきました。座席は指揮者の西本智実さんの真正面最前列でした。この座席を提供してくれたことに深く感謝しています。
 表情、髪の乱れ、指先の動きを全て見ることができました。この座席からのコンサートの雰囲気を言葉で表現することは難しいのですが、二度と訪れないような空間であったことは確かです。

「これが世界だ」。そんなことを思いました。西本智実さんの後ろにはお客さんの座席がありますが、お客さんの中に指揮者が浮かび上がっている光景は言葉にできないものです。

 世界を相手に戦っている凄さが伝わってきます。若くして世界で戦っている姿を直接見ているだけで勇気がもらえます。

 タクトに乗せた音符がメッセージを伝えてくれます。
小さい世界での葛藤や悩みなどは、世界レベルからすると全く問題がないことだと教えてくれました。舞台で自分を表現することの難しさ、この場所に立つまでの挑戦する姿勢も伝わってきました。そして、ここにいることの幸せも感じました。

鳴りやまない拍手は、大きなうねりになって響きました。確かに拍手の力は天井を突き抜ける強い感動の気持ちが乗っていました。拍手がつながって龍のように昇っている様子が見えました。私達の中に昇龍は存在しているのです。

 この3時間弱のコンサートの時間を得られたことは、人生の損得でいうなら多いなる得です。本物に触れる、本物を聴ける機会は滅多にありません。感動ではなくて勇気をもらえるコンサートでした。

 感動することは数多くありますが、勇気をもらえる機会は滅多にありません。同じように、感動を超えた勇気をもらえるイベントはそれほど多くないと思います。恐らく、オバマ大統領の就任演説やイチロー選手の世界記録を塗り替えた場面で体験できる位だと思います。
西本知実さんが身体から発する「これが世界レベルだ」のメッセージは、間違いなく勇気を与えてくれるものでした。自分の枠内を超えて、世界に立ち向かっている人だけが発することができるメッセージなのです。

 私も挨拶や講演の機会をいただけると、何かひとつだけでも伝えられるようにと思っています。その中で感動を提供できたら素晴らしいなと思っていますが、そこから話のレベルを上げる目標に変わりました。舞台に立った時、本気さと、強く優しい言葉を以って、感動を超える勇気を持ってもらえることを目標に考えるようにしました。
「これが世界だ」とは言えませんが、「これが私達の立つべき場所だ」程度は言えるようにしたいものです。


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