775. 期待と不安

不思議なもので、2009年夏の総選挙前には民主党政権への不安を感じていた人でも、政権交代が現実のものとなり、内閣が発足すると不安の声は消え去りました。今は期待の声だけが聞こえてきます。
 何事でもそうですが、やってみる前がもっとも不安が高まります。試験勉強や大切なプレゼンテーションの前は緊張と不安が交錯するものです。その日が迫ってくるに連れて不安感は上昇していきます。前々日、前日と不安は最高潮に達します。それが夜明け前の暗さです。

 県議会一般質問の前日は緊張するものです。私の場合、県議会一般質問の前日の夜は予定を入れないことにしています。議場に登壇しますから、やはり寝不足や、飲食による疲れを残さないようにしておきたいからです。一般質問の前の夜には最終の原稿確認を行い、ここでも質問内容の気になる個所をチェックし変更していきます。また何かの理由で質問時間の40分を超えることも予想しておき、その時に割愛する文章も決めておきます。一般質問の進み具合によって作成した原稿の一部を割愛することは毎回の一般質問で行っていて、時間調整をしています。

 そして当日。試験当日や大切なプレゼンテーション当日になると、気持ちが吹っ切れます。不安感が消え緊張感だけが残ります。試験の最中やプレゼンの最中は余計なことを考える暇はありませんから、内心の部分が表に出ます。事前準備とその課題に関する実力を養成しておけば、心配も何の問題もありません。等身大の自分で勝負すれば仕事を終えた後は爽快感があるだけで、後は期待感が残るだけです。

 心地よい程度の緊張感が良い仕事をさせてくれます。緊張感のない仕事ばかりでは、退屈な日を過ごすことになります。時には重要なプレゼンテーションの場を設定することや、自らの専門の講師を務めるなどして緊張感を持てる環境に身を置くことです。

 今の政権に対して、期待を持って見ているのは、同じような感覚だと考えています。不安が消えて期待が残る。これから時代が始まろうとする息吹すら感じます。夕日が沈む時の惜別感と比較して、朝日が昇り始める前の暗さには一日が始まる期待感があります。
夜明け前が良く似合う秋の日です。既に過去は去り、未来は訪れています。

 過去はセピア色ですが、未来は訪れるまでは無色です。ですから自分が望む色に塗ることができます。誰にでも明るく、輝く色に描くことができるのです。どんな色にでも描ける未来を私達は等しく持っています。

 ただし無色のまま未来であつた今日を迎えると、明日には色をつけないままセピア色に変わっています。自分で描くことをしなかったセピア色の過去は持ちたくないものです。

輝く色を描いた未来を今日の見る色にして、セピア色にして送ってあげる。そんな毎日を繰り返したいものです。


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