763. プロ養成
 厳しいプロの世界を経験した人は違います。元宝塚歌劇団の女性が、故郷、和歌山市に戻ってきました。宝塚知退団後は東京でダンスのレッスンを行っていたのですが、生まれ故郷に帰ってきてくれました。

 プロとして、和歌山市から宝塚歌劇団に入学する生徒を育てたいと思って活動を開始しています。和歌山市に今までなかったもの、それはプロを目指すスクールです。

 実現したいことは、「宝塚音楽学校受験コース」と「劇団四季のオーディションを目指すコース」のふたつです。加えて時間的余力があれば「ダンススクール講師を目指すコース」も考えているようです。

 これらは今まで和歌山市には存在してない活動です。存在していなかった理由は、これらのコースを開講するためには、宝塚音楽学校を受験して合格し、宝塚歌劇を体験した人材が必要だからです。宝塚を受験したことがない人が、「宝塚音楽学校受験コース」を教えられる筈はありません。

 現在もこのコースで学んでいる子ども達がいますが、全員が真剣に合格を目指しています。半端な気持ちで受験しようとは思っていないのです。高校野球球児が本気で甲子園やプロ野球選手を目指しているように、本気で宝塚を目指しているのです。子どもの本気を受け止めるためには本物を経験している先生が必要です。

 ですから宝塚を目指す子ども達は、スクールのある大阪までレッスンの受講に行っているのです。和歌山市に住んでいるだけで、時間も費用も大阪市に住んでいる子どもと比べてハンディになっています。

 和歌山市からでも宝塚を受験して合格できることを示したいのです。そんなプロを養成する講座が始まります。

 先生役の元宝塚のKさんは、「和歌山市にいてもやれば出来ることを見せたい」と話してくれました。

 話を聞くとレッスンは厳しいものです。ボイストレーニングは一対一の真剣勝負です。ダンスのレッスンではり、夏場でも汗をかかせるため冷房は入れません。歩き方や立ち方なども含めてプロに必要な技術を養成しています。

 レッスンを受講しているのは中学2年生から高校3年生までです。宝塚音楽学校受験資格は、中学三年生から高校三年生まで時期の四回です。10歳代の時に四回受験機会があるだけです。

 「たった四回ですか」と尋ねると「四回も受験できます」と返事がありました。プロを目指すのですから、初回から合格するつもりで取り組むのは当然のことなのです。四回目で合格すれば良いとは誰も思っていないのです。

 プロを目指すレッスンが和歌山市で始まります。これは今までにないことで楽しみなことです。和歌山市の子どもに才能がないのではありません。目指せる環境がなかっただけなのです。子ども達の夢が実現できるための、プロを目指せる環境を作るのが大人の役割でもあります。

 人を育てるには環境を整えることが必要です。簡単なことですが簡単でなかったのは、各分野のプロ出身で先生役を担える人材が少なかったからです。

 人材を育てるには人材が必要なのです。層の厚い地域から人材が輩出されているのは偶然ではありません。

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