762. 同級生社長
 小学校、中学校の同級生だったI君。卒業式以来、2009年夏の同窓会で会いました。
 やんちゃな顔は変わっていなくて懐かしく思いました。ところが不思議なことに、昔話ではなくて、今の話で花が咲いたのです。

 今のI君は会社を経営しています。20歳の時に会社を立ち上げたそうですから、28年間も社長を続けていることになります。お互い会っていなかった空白の30年の内、実に28年間も社長をやっていたのですから同級生とは言え尊敬しています。20歳の時といえば、社会の右も左も分からなかった頃です。そんな年齢から社長をしていて、バブル期、ITバブル崩壊の時期、そして100年に1度の不景気の時代を生き抜いています。

 今では従業員さんは30人も抱えている会社に成長しています。ところが人柄は全く変わっていなくて、昔のような人懐っこい笑顔と優しさで溢れています。

 既に、会社の舵取りを任せられる人材を確保していますし、後継者にと見込んでいる人材を教育しています。社会が変化しようとも、「自分の会社の従業員は守らなければならない」と話してくれました。そのためには社長だけで経営するのではなくて、人材を配置し、将来にわたって安心して働ける会社を作る必要があるのです。

 殆どの従業員さんは30歳代で、社長よりも年上は52歳の一人がいるだけの若い会社です。厳しい経済環境の真っただ中でも、「やっていける」とのことですからたいしたものです。

 やんちゃなI君が立派な社長になっていることは素直に嬉しいことです。まさか、小学生だった二人が47歳になって、お酒を飲み交わすことになるとは想像もしていないことでした。

 そう言えば、小学校の校門の横に張ってあった選挙の掲示板を思い出します。当時の大人たちが和歌山市や国の舵取りをしてくれていたのですね。顔写真を見て選挙って何だろうと思っていた頃を思い出しました。

 30年前の大人が立っていた社会を支えるポジションに、当時は小学生だった私達の年代が立っています。全く不思議なことです。いつしか社会を描く立場になっている、改めて責任ある立場にいることを実感しています。

 今の小学生も選挙の掲示板を見ていることでしょう。時代は繰り返します。今の小学生も何十年か後になって、「あのポスターの人たちが今の社会を築いていたんだ」と思っていることでしょう。その時代が今よりも、もっと安心で暮らしやすい、そして争いのない平和な国になっているように努めるのが私達の仕事です。

「立派になっている男性を見ると嬉しくなります。母親みたいですね。I君はお勉強は嫌いだったけれど性格が良かったからね」と、同級生の女性の言葉です。この言葉も嬉しい贈り物です。

 社会の中堅ともいえる47歳。今まで以上に、これからも頑張りどころです。

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