718. 視点
 今の自分を、子どもの頃の自分の視点、高齢者となった時の自分の視点、そして死ぬ直前の自分の視点で捉えると、今が充実しているかどうか分かると言う見方があります。過去と未来から今を見るという考えはありましたが、それ以上に具体化して視点で見ると、本当に今が分かるから不思議なものです。
 小学校六年生、12歳の自分が2009年に現れて現在の自分を見たらどう思うでしょうか。最低限、こんな大人にならないで欲しかったとは思わせない生き方をしていたいものです。 

 確か小学校の卒業文集の将来の夢は「歴史が好きだから探検家になって世界を巡りたい」と書いた記憶があります。探検家にはなれていないけれども、社会を探検している人にはなれていると思っています。和歌山県という小さな社会ですが、表面には現れない課題と戦える日々を過ごしていることは、未知の世界を探検する冒険家ではありませんが、現代社会の深層を探る探検家としての仕事をしていると思っています。

 姿形が違っていますが、夢は違う形で現実のものになっています。ジャングルや分厚い氷の世界ではなくて、人間社会という未知の世界で戦っている自分がいます。
 12歳の自分が今ここにいたら、「頑張っている」と評価してくれると思います。12歳の自分が目指すべき大人の姿を、今の自分が演じられているなら素晴らしいことです。12歳の自分が目の前にいても、「人生は素晴らしいものだから、しっかりと階段を昇りなさい」と話せる自分でいると思っています。
 
 では70歳の自分が2009年に現れたらどう評価するのでしょうか。「まだ、そんなところに居るのか。もっと階段を上って来なさい。そうでないと70歳になっても、(70歳の)わしのようになれないぞ」と言っていると思います。今に安住しているようでは、将来到達すべき自分に辿り着けません。多分、70歳の自分は人生における大きな仕事をやり終えて、ゆったりと人生を過ごしていると思います。

 70歳になった時、自分がそれ以上目指すのではなくて、後を後輩に託してゆったりとしている筈ですから、それまでは懸命に駆け昇らなければなりません。休むのはそれからで良いのですから、今は目指すべき未来の夢に向かって走り続けるべき年齢です。

 まだまだ頂点には達していないどころか、目指すべき頂点は雲の上にあります。雲の上の青空を目指して駆け抜ける時期が今なのです。

 そして死の直前の自分が2009年に現れたとしたら。今の延長線にいることを良しと言ってくれないでしょう。右肩上がりの生き方には満足していますが、どこかの段階で加速度をつけて上昇するような挑戦を期待していると思います。「このままでは目の前の山を登りきったら終わりだよ。高い頂がその先にあるのだから、挑戦することも人生だよ」と語り掛けてくれるようです。

 三つの視点で今を眺めたら、現在の自分の評価を自分ですることができます。

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