706.三つの言葉
 2009年春、和歌山市内の公立小学校で入学式が挙行され、宮小学校の入学式に出席させていただきました。
 校長先生から入学生に贈る三つの言葉がありました。どれもこれも、大人にも当てはまるものでした。 

 ひとつ。挨拶をすること。朝の挨拶は人間関係を潤滑油で、とても大切なものです。大きな声で元気よく挨拶をすること。これが一日のスタートです。朝起きて家族への挨拶、職場に行っての同僚への挨拶。お客さんへの挨拶。挨拶の大切さは言うまでもありません。挨拶をしないで仕事に入った時は、何故かうまく進行しないのです。身体を動かす場合にウォーミングアップが必要なように、会話や仕事でもウォーミングアップが必要で、それが、その日の最初の挨拶なのです。知った人でも知らない人でも、まずは挨拶から始まります。

 ふたつ。人の話は良く聞くこと。人は話をするのが好きなもので、聞く姿勢を持っている人は多くはありません。「自分が、自分が」の人が多いのですが、真剣に相手の立場に立って話を聞くことができる人が存在している組織や団体の仕事はうまく進行していると思います。うまく話を聞くことのできる人は、相手を気持ち良くさせしまいます。気持ち良く仕事ができたら、仕事は流れ出すものです。

 みっつ。たくさん本を読むこと。勉強も実社会においても、本を読んでいる人には適いません。人は経験や人との交流の中から学び知識を増やしていきます。しかし会える人には限りがありますから、何かで経験不足を補完しなければなりません。それが読書なのです。経験できないことを経験させてくれるものが読書であり、他人の経験を共有できるのも読書なのです。

 短時間で他人の経験を学ぶことができることや、会うことのできない歴史上の人物からも学ぶことが可能です。しかも理論が完成しているものは、最初から結論を知ることが可能なのです。ひとの仮説が結論を導かれるまでは長い時間を要しています。仮説の組み立て、資金調達と人集め、実験の繰り返しとデータ収集、論文発表、そして時間による検証を加えられ理論として成立しています。現代に生きる私たちは歴史上の偉大な発見や成果のその過程を短時間で巡ることも可能なのです。いきなり、天才たちが築いた理論の正解を知ることができますし、その気になれば天才たちが到達した最終地点から、私たちはスタートすることができるのです。大きなアドバンテージを受けながら平成の時代を生きているのです。それは読書をして初めて身につくものです。読書をしないと先人の財産を自分のものにすることはできません。

 挨拶をすること、人の話を良く聞くこと、読書をすること。この三点は新入生だけが守るべきものではなくて、全ての人が守りたいものなのです。

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