696.開幕戦
 2009年3月。関西独立リーグの紀州レンジャーズが開幕戦を迎えました。いよいよ和歌山県に初めての球春がやってきました。和歌山県にとって歴史に残る開幕試合となりました。何しろプロ野球開幕戦が県営紀三井寺球場で開催されたのですから。

 紀三井寺球場の午前。外はバザーと音楽、そして馬とフラメンコダンサーで明るい賑わいがありました。内部は紀州レンジャーズと対戦相手の明石レッドソルジャーズが試合前の練習を行っています。華やかな外の雰囲気と対戦前で張り詰めた雰囲気のある球場内部。何もかも新しい雰囲気が否応なしに私達を盛り上げていきます。

 正午からは開幕式のフラメンコダンス、紀州レンジャーズの応援歌披露などで盛り上げを図り、午後1時プレイボールとなりました。試合を観に来てくれたお客さんは約1,200人。春の紀三井寺球場でプロ野球の試合が観られるとは、今までであれば思いもしなかったことです。それが実現したのですから大げさではなくて画期的なことなのです。

 NPO法人紀州レンジャーズ、株式会社紀州レンジャーズを設立し、多くの皆さんの応援があったことから実現できたのです。そして地域に貢献しようと願う株式会社オークワさんにメインスポンサーになっていただき戦う態勢が整いました。

 和歌山県に春を告げるプレイボールは、全ての県民の皆さんへの応援メッセージなのです。試合を観戦している皆さんの表情は真剣で、これが自分達の県の球団を応援する気持ちであり、地元でプロスポーツを楽しめる心地よさなのです。土曜日の午後の新しい楽しみ方がここに誕生しました。

 開幕戦のスコアは次の通りです。
 回 1 2 3 4 5 6 7 8 9
明石 0 1 1 1 0 1 3 0 0 7
紀州 3 0 1 0 0 0 0 0 2 6

 惜しくも6対7で初戦を落としました。しかし三点差を追い掛ける最終回の連打は、次の試合につながるものでした。課題は投手のコントロールと長打力でしょうか。相手の明石チームはホームランで波に乗ったように感じます。ソロホームランでも一点ですが、ベンチの盛り上がり方は一点以上の重みがあるような雰囲気でした。

 対して紀州は最終回に長打が生まれましたが、今日の打球音は明石が勝っていたように感じます。生の試合を観て、投手のコントロールと打者の振り抜く力が大切だと思いました。

 木村竹志球団代表は「投手の間が悪い」と話していました。テレビではなくて観戦していると間というものが良く分かります。間とはテンポや野手との間にあるリズム感のことだと思いますが、それが攻撃のリズムにもつながるのです。守備機会から攻撃に移る間が良いと自陣のチームの流れになるのです。初回三点を入れ序盤はリードして折り返しましたが、確かに逆転されそうな間があり、一度逆転された後も間が良くなかったので、残念ながら再逆転できるような雰囲気は感じられませんでした。

 間の大切さはライブで分かるものですが、どの世界でも大切なもののひとつです。仕事や議会の場での間合いは報告書や議事録から感じられませんが、現場では大切なものです。何故成功したか、何故上手くいかなかったのか。それは現場での間合いが原因になっていることが多々あると思います。
 さて追い上げられませんでしたが、試合後、選手たちは球場の外に出てお客さんをお見送りし、皆さんと交流の機会を持っていました。選手はファンの差し出す色紙や紀州レンジャーズのステッカーに、要望に応えてサインをしていました。試合後の素晴らしい光景でした。

 和歌山県初めての開幕戦は大成功でしたが、72試合ある長いシーズンはこれからです。試合内容も求められますが、成否はお客さんの入りが握っています。是非とも和歌山県下各地の球場で試合を続けますから、各地の多くの皆さんに観にきて欲しいものです。

 お客さんが来てくれることがスポーツによる地域振興になるからです。無理を実現させた紀州レンジャーズです。今こそ和歌山県に頑張って欲しいのです。
最後に藤田平監督の試合前の激励のひと言「72分の1や。緊張しないで行こう」。そう、開幕戦を落としても1/72ですから、残りの試合に全力を尽くせば良いのです。
 さくらよりも先に、紀州レンジャーズが和歌山県に春を運んでくれました。

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