688.反復練習
 45歳の現役プロ野球選手、工藤公康投手。「現役力」を読みました。プロの世界で生きていくために必要なものは「基礎力をつける反復練習」と「考える訓練」だそうです。

 少し引用します。「野球の技術や体力を磨くには、反復練習しかありません。ひたすら同じことのくりかえしで身体に覚えさせていく。単純動作を何度も何度もくりかえすことによって、頭で考えなくても身体が勝手に動いてくれるくらいまで染み込ませていく」(「現役力・」PHP新書、59ページ)のだそうです。

 プロの世界でも基礎力の繰り返しが生き残るために必要なことなのです。プロに入ってくる選手は例えドラフト下位の選手であってもアマチュアでは飛び抜けた選手ばかりですから、その中からプロで抜け出すには何かが必要なのです。その何かとは「基礎力をつける反復練習」なのです。

 スーパープレイや見る人を感動させてくれるプレイの基は、反復練習によって身につけたものばかりなのです。プロとは身体が勝手に反応するレベルにまで高めること。そしてスランプの時には新しい発見をするのではなくて、反復練習によって身体に染み込ませている筈の技術を思い出す作業ができる人のことを指すのです。

 プロ野球ではなく、私達の仕事においても同じことが言えます。仕事で実績を上げるためには、その世界での実力が必要です。奇跡的に実績を上げられるような「いきなり」は何度も起きないのです。その実力とは基礎力以外にありません。基礎力を身に付けるためには反復練習以外にないのです。

 反復練習とは、毎日の自己啓発と勉強、人脈形成などのことですが、これを毎日続けられる人は多くはありません。プロは何時間も練習を続けていますが、私達はせめて30分程度は専門知識を身につけるために時間を割きたいものです。一日30分を続けることが仕事においての反復練習となり実力を向上させてくれます。

 何かを得るには反復練習以外にありませんが、それを続けると身につけられるものが多くあります。例えば自動車の運転やパソコン操作などは、今の時代、ビジネスに関わっている人にとってそれ程難しいことではなくなっています。これらは最初から出来ていたものではありませんが、繰り返している内に身につけた技能なのです。

 やれば誰にでも出来ることなのですが、続けられない理由があります。それは退屈だからです。反復練習は基礎力を身に付けるものですから、どうしても単調な訓練になりがちです。最初は目新しいことでも繰り返しているうちに退屈になってしまいます。自分がそれをもう習得したと思うと、もうその練習はしたくないと思うのです。英語を身に付けることが困難なのは、単純に単語を覚えるなどの基礎力を身に付ける行為の繰り返しをしないからです。おもしろくない反復練習を繰り返せる人だけがプロの世界で生きていけますし、ビジネスの世界で実績を残せるのです。成果をあげるには、表面には出てこない地道な反復練習を忘れてはいけないのです。

コラム トップページに戻る

前のコラムへ   /  次のコラムへ