645.良い循環
 行いの良い人とつきあっていると良いことが起きると言われます。しかしそれらの人とつきあおうと思うと、自分の行いを良くすることが第一です。自らの行いを正しくすると楽しいことが周囲で起こり始めます。皆さんからそれらの言葉を聞くことはとても楽しみです。良い循環が次々に起きることが楽しみですし、自分の周囲で良い循環が起きていることを感じられることは、自分の行為が間違っていないことを確認することになります。

 もし不都合な事態ばかりに遭遇すると感じたら、それは社会や接する相手の責任ではなく、自分に非があると思った方が良いのです。周囲の出来事を他人の責任だと思っていると、その不都合な循環から逃げることはできません。しかし自分の心と行動を変えることで良い循環を呼び込むことができますから、もし良いことが起きていないとしたら、今直ぐ行動を正したいと思います。

 「ご案内いただいたシャンソンコンサート、五人で行ってきました。ユーモアたっぷりでとても面白かったです」
 これは麻薬患者を社会復帰させるために、ゴールの見えない息の長い活動をしている方からいただいた言葉です。活動をサポートしてくれている方達と一緒にコンサートに行ってくれたのですが、日常生活の中では味わえない音楽を楽しんでくれました。

 「イベントに行ってきました。皆さんの喜んでいただき笑顔を間近で見たら、やはり私の生きる道はここだと分かりました。人に何かを伝える、言葉の仕事をしたいと強く思いました。言葉の力、声の力、話すことの大切さを全国の皆さんに聞いていただきたいです。子どもから大人まで、これだけ乱れた世の中を立て直すのは言葉の力が絶対に必要です。言葉イコール生き方ですもんね」

 超一流のスポーツ選手や芸術家など特別な人は別として、私達は言葉で相手に思いを伝えることができます。言葉を通じて温かさを感じたり、優しさや強さを感じたりします。  
 しかし言葉の力は、その言葉の中に自分の体験が宿っていなければなりません。自分が体験していないこと、例えば自分にボランティア体験がないのに、ボランティアの素晴らしさを伝えても、ボランティアが地域を変えると訴えても、決してその言葉は相手に響きません。

 言葉を相手に伝えるためには、自らの行動体験という裏付けが必要です。行動体験があって初めて言葉に力が宿るのです。自分が困ったり悩んだり苦しんだりした経験。多くの人と接した経験、多くの人の悩みの相談を受けた経験。これらの体験全てが自分の言葉になって現れるのです。

 友人は「言葉の力、イコール生きる力」だと定義づけてくれましたが、生きる力とは自分が歩いてきた人生そのものです。それを伝える手段が言葉なのです。真剣に人生を歩いてきた人の言葉には力が宿っています。
 スポーツ選手や音楽家が、その才能を持って、観ている相手に生き方や感動を伝えるように、私達の言葉も、時には相手に何かを伝えることができます。

 まだまだありますが、周囲に嬉しい出来事が起きていることは、今が間違っていないことだと認識しています。良い循環をこれからも大切にしたい。嬉しい言葉からお互いに生きている意思が伝わってきます。

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