614.心得その2
 利益を一人占めしないで関係者に公平に分配することを心得ておくことで、良いことが次々に現れてくれます。携わる部門によって仕事量は違いますが、それでもチームの成果は構成員で均等割りを行うことが基本です。

 例えその仕事に関わる時間が全体の10%程度の役割を担っていなかった人がいたとしても、その人が欠けていたら100%の成果を生み出すことはできなかったのです。
 一番分かりやすい事例は、入口と出口が決まっている仕事です。その仕事を完遂すれば利益を得られることが決まっている仕事なのです。しかしそれが進まない原因のに大半は資金調達にあります。90%仕上がっていて、あと少しでゴールが見通せる仕事はたくさんあります。あと少しが資金調達なのです。仕事の割合からすると資金調達の労力は全体の10%程度かも知れません。しかし資金調達ができないと、100%の成果どころか10%の成果も出せないのです。確実なことは資金がないと成果は0%だということです。多くの場合、資金があって仕事は前に向けて進み始めます。資金がないと結果は残せませんから得られる成果もゼロなのです。

 しかし結果がでた後になると、そのことを忘れてしまいます。「資金調達がなかったとしてもこの仕事は成功していた」。その仕事の中心を担っていた人に限ってそう思うのです。
 それは大きな過ちです。得られた結果と比較して、資金調達をつないだ人に少ない割合の利益を配分することは間違いです。絶対に均等割りすべてきなのです。
 「だって、あいつは資金を持っている人を紹介した(つないだ)だけだから、分け前は少なくて当然」だとするのは絶対してはならないことです。つなぐ人がいたからその仕事は成功したものであり、いなかったら成果はゼロなのです。90%の仕事が完成していたとしても資金調達ができなかったら成果はゼロなのです。従って成果がゼロの仕事の利益はゼロなのです。

 「資金をつなぐことくらい簡単なこと」だと思っている人がいたとしたら、その仕事から今直ぐ退場です。資金調達は信用されている人でないと決して出来ないのです。嘘だと思うのであれば、お金を借りに行ったら分かります。人の信頼だけでお金を貸してもらうことは難しいことなのです。

 定職に就いていない人、実績をあげたことがない人、つきあっている人が良くない人が、お金を借りに行っても誰もお金を貸してくれません。社会からの信頼の力はそれほど大きいものです。信頼を得るには、日頃からの行動に加えて、その行いを積み重ねてきた長い時間が必要です。決してお金だけで信頼を得ることは出来ないのです。

 このようにある仕事に資金提供をしてくれるのは、その人に信頼があるからです。信頼している人がチームにいることで資金が集められるのです。ですからその仕事に携わる時間が少なくても、ほんの少し関わっているだけのように見えても、社会から信用されている人の存在が仕事を成功に導いてくれます。

 何事においても信頼が一番なのです。発明者や企画力のある人たけで仕事が完成しないのは、社会からの信用が欠けているからです。信用力のある人が加わることで仕事は完成に向かって行きます。つまり自分で仕事の全てを完成させることが出来る能力のある人以外は、社会において最も大切な信用力を他人から借りて仕事をしているのです。決してそれを忘れてはいけません。

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