568.ジャズナイト
 和歌山市で活躍している瀧益生さん。芸能生活50周年を記念してジャズライブが開催されました。会場は和歌山市内のアバローム紀の国。参加してくれたのは約300人、発起人の一人して嬉しく思い、また感謝する次第です。瀧さんからこのイベントの相談を受け、発起人としての役割をいただき、以来、本日のイベントの成功を願っていましたが、大成功に終わり、終了した後、ホッとしました。

 瀧さんは司会進行と演奏を同時に行い、汗びっしょりでした。瀧さんの達成感の溢れる表情を見ていると成功して良かったなぁと心から思います。直前の三日間は準備のため寝る時間もなかった様子で、それだけに達成感もひとしおだと思います。お疲れ様でした。
 このイベントは和歌山県に元気をもたらすものでした。ジャズピアノ奏者の第一人者である秋満義孝さんも駆けつけてくれるなど、豪華なメンバーが和歌山市の夜を彩ってくれました。ジャズ演奏を聴きながら夜の一時を過ごせる。この幸せを味わえるだけでも価値のある夜でした。会場にいた全員がそう感じている空気がありました。

 最初の演奏は瀧さんのお弟子さんが秋満義孝さんとピアノの協奏をしました。瀧さん曰く「名人と合わせるのは、上達する最大の出来事」だそうです。一流の人とお手合わせすることの素晴らしさは、どんな分野にも通用するものです。若い人は一流の人物から技術だけではない深い考え方を共演することで学びます。人間としての深さを学び体験すると技術も深みは増します。経験したことは表現できますが、未体験のことを表現することは難しいのです。音楽も同じだと思います。他の国の音楽を日本人が演奏することは難しい筈です。国によって文化と歴史、考え方や感じ方が違いますから、違った文化の中から生み出された音楽を日本人が演奏することは、相当の想像力と感性が必要で、その意味を聴く人に伝えることは、また困難な作業なのです。それは一流の人だけが伝えられる領域に入ります。

 秋満さんと協奏した瀧さんのお弟子さんの笠本さんは、たった一曲のピアノ演奏が大きな自信と次のステップへつながったことだと思います。

 続いて粉河高校のOB「ジョインJAZZオーケストラ」による演奏も見事でした。粉河高校でジャズを演奏していた部員が卒業後もバンドを組んで仲間として活動しています。瀧さんが粉河高校にジャズの指導を始めた年、部員は10人、夏休みの活動を終えた後、3年生が部活を終えた後に残ったのはわずか3人でした。そこから始まった粉河高校のジャズの歴史、今では70人を超える部員がジャズライフを楽しんでいます。平成20年も27人の部員が入部してきたそうです。「粉河高校でジャズをする」。このような空気が出てきました。兵庫県のジャズの名門である高砂高校のジャズクラブを目指す中学生もいるほどですから、粉河高校もそうあって欲しいものです。新しい伝統が芽生え始めていることは嬉しいことです。そして卒業後も「ジョインJAZZオーケストラ」として活動していることは伝統を拡大する役割を担っています。

 本日の演奏は若さ溢れる演奏で元気が漲っていました。昭和の名曲も演奏してくれましたが、バンドメンバーは全員平成生まれですから、リアルタイムの演奏を知りません。昭和の時代の空気を知らない生徒が昭和の曲を演奏することは、外国の曲を演奏しているようなものです。昭和の時代を生きたお客さんに平成生まれの生徒が聴かせるのですから、技量が求められますし、時代の空気を知らない分は元気な演奏力で補っています。音に元気さが感じられる見事な演奏でした。

 最後を務めたのは瀧さんのバンド「グッドマン」でした。曲調は先の「ジョインJAZZオーケストラ」とはガラリと変わって大人の雰囲気がありました。50年間の人生を表現している演奏で芸能生活50年の重みを感じました。瀧さんとは思わず握手をして「よかったね〜。50年間、お疲れさまでした。これからも活躍を期待しています」と心の中で声を掛けていたライブでした。
 瀧益生さん。芸能生活50周年本当におめでとうございます。素敵な夜でした。

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