546.ブランド力
 和歌山市内で飲食や化粧品の商品開発を行っている経営者がいます。良い品質のものや美容と健康保持に有効な商品であっても、全国ブランドには敵わないと言います。全国ブランドは莫大な広告宣伝費を投じていますから、消費者の商品の認知度が高くなり好印象を与えるのは当然のことです。商品とは高品質と宣伝力の総合力ですから、品質だけが良くても売れ筋になりませんし、宣伝に費用をかけても品質が劣っていると消費者に行きわたりません。

 和歌山市内で製造しているものでも品質が良く、「これはっ」と思うものも度々あるようです。現在の市場にある商品よりも品質は格違いに良く、これは売れると思って試作品を作ってみても全く売れません。このように品質や性能が良いだけでは商品は売れないのです。

 地方の会社では資金力の問題などで、ひとつの商品に多くの広告宣伝費は掛けられませんから、どうしても全国レベルのブランド商品に太刀打ちできないのです。商品力では互角かそれ以上の自信があったとしても、社会的地位を確立させているブランド力の前には屈する他ないのです。地方発の商品を全国レベルに仕上げることや全国で流通させるのは大変なことなのです。

 企業がブランド力を手に入れるのは時間と費用が掛かりますから、世代を超えた挑戦にもなりそうです。ブランド力を確保しようとすれば、相当長い年月を掛けて市場からの信頼を得るか、それとも欲しいブランドを買収することです。

 人も同じでブランド力を身につけることが大事です。人間のブランド力とは、衣服や装飾品にブランド物を身につけることではありません。自らが名前で勝負できるブランドになることなのです。
 分かりやすいように人物を例にします。イチロー選手→メジャーリーガー。高橋尚子選手→マラソン選手。羽生善治さん→棋士。このように名前を聞くと、直ぐに何をしている人か分かります。ここまでのビッグネームになると、その人物自体がブランドになっているのです。有名人だから「誰もが知っているだけだよと」との意見も聞こえてきそうですが、でもそんなブランド力を持った人物でも最初は無名の存在だったのです。何でブランド力を備えることになったかと言うと、それは実績を重ねてきたからです。その分野で実績のないところから抜きんでた実績を積み上げてきたことが、個人をブランドに仕上げたのです。

 私達は、せめてその地域や所属する組織でブランド力を身につけたいものです。そのためには、一つのことを継続すること。今日の終わりにも、昨日の自分を超えること。自らが納得できる形のある成果を残すことなどを積み重ねてブランド形成をしたいものです。
 ブランド力を手に入れようとする個人や会社、そして地域の挑戦は素晴らしいものです。

コラム トップページに戻る

前のコラムへ   /  次のコラムへ