498.世界水準
 和歌山市の中心市街地に活気を取り戻したいと考えている経営者の方と懇談ました。今まで個人としても会社としても、お世話になり成長させてもらった和歌山市に奉公したいと考えてくれています

 この経営者は和歌山市に欠けているものは先進性だと認識しています。兎角、目新しい動きをすると横やりが入ることや、違った動きがあると止めに入られることもあったようで、横並びを良しとする空気があるのです。しかし地域にない文化を取り入れることや、他府県は無論のこと、諸国からも学ぶことが進歩性とつながっていることに気付き実践するべきです。気付くだけでも気付かないようはマシですが、実践が伴わない気付きには大した値打ちがありません。まち全体にとって良いと思うことは実践することがまちを動かす力になります。観光学部は私達の動きを加速させてくれる装置とも言えます。何故なら、観光学部開設の時期が再び巡ってくる、そんな機会は二度とないからです。今、まちとして最善の受け入れ方策を考えないで、一体何時考えると言うのでしょうか。思いのある人は焦燥感に駆られています。観光学部をこの機会に、何にとしても中心市街地に呼び込みたい。そんな話し合いを続けています。

 まちの発展に続いて中国上海の事情について話は及びました。この方の子どもは上海に居住し、現地で会社経営をしています。そして当然のことですが、お孫さんも上海の小学校で学んでいます。お孫さんは、日本語、英語、そして中国語の三か国語を話せるそうです。「凄いですね」と反応すると、「上海の小学生では当たり前のことですよ」との返答でした。日本語は兎も角として、母国語の中国語と英語は全ての小学生が読み書き出来るのです。これは凄いことです。いのま小学生のレベルがその国の将来を占います。国際社会では、今や世界語とも言える英語を道具として使えることがビジネスで、外交で戦うための必須条件なのです。小学校時代から道具として操れる国と、そうではない国の国力に差が出るのは当然の帰結です。英語は文化を壊すのではなく、自国の文化を正確に伝える道具にもなるのです。

 国際都市上海での教育水準、文化度、余暇の楽しみ方など、和歌山県に取り入れたいものがありそうです。これらは現地での生活体験のある人から吸収すべきものです。参考までに、この経営者も上海にマンションを所有していますから、現地での生活体験は豊富です。ですから中国人の友人を和歌山県にお招きした時に、恥ずかしい思いをしたそうです。

 和歌山県内のホテル、旅館に滞在した時の施設やサービスレベルが、上海のそれと比較して格段に低かったことが原因です。本当は心に満足感を与えてリピーターになってもらいたかったところですが、今のところ再び和歌山県に来てくれていないそうです。階層にもよりますが、東アジアの生活水準は私達の想像以上に高くなっているのです。観光立県和歌山県を目指している限り、世界水準の観光施設とサービスレベルを皆さんに提供して欲しいところです。

 和歌山県が自然と歴史を前面に出して独自の路線を行くことに異論はありませんが、おもてなしの気持ちやサービスレベルなど、誰からも求められるものは世界水準を目指したいものです。それが観光立県としての絶対条件です。
 観光立県和歌山県の玄関口とも言える和歌山市と中心市街地には、世界で通用するレベルのものを目指して欲しいものです。ここに存在している自然と歴史は独自のものでも、都市のレベルは世界水準でいて欲しいものです。住んでいる地域が低迷していることを歓迎している人は一人もいない筈です。

コラム トップページに戻る

前のコラムへ   /  次のコラムへ