473.すり合わせ
 一般質問を行うに際して、通常は県当局とすり合わせを実施します。すり合わせとは、一般質問を行う際に、質問者の質問の主旨を当局に伝え、当局の考え方を示してもらうこと、そして更に実施の可否や改善すべき項目を検討してもらう打ち合わせのことです。これによってお互いの考え方が理解し合えますし、他府県の取り組みや先進事例なども知ることが出来ますから、そこから和歌山県の施策を見直し、または改めて評価することも出来ます。

 一般質問を実施するのは本会議ですから真剣勝負の場です。その真剣勝負の前にすり合わせを行うことは、事前に全て根回しが終了するので真剣勝負にならないとの意見もあります。この点に関して私の意見を述べます。
 一般質問の内容を当局に知らせないで議場で初めて質問した場合、当局側に充分な資料やデータがないため正確で責任のある回答をすることが出来ませんから、答弁は「その点に関してましては検討いたます」となります。また、当局と知事の当該施策の考え方に相違があった場合、知事と担当部長とで答弁が異なるような場合も予想され、今後の進め方に関して混乱することになります。

 つまり折角、皆さんの意見を踏まえ、事例を研究して一般質問を行っても、当局に質問の主旨が正確に伝わらないこともあり、期待する答弁が帰ってこないことになります。それでは一般質問の効果が少なくなります。勿論、事前にすり合わせを実施したとしても全て期待した答弁にはなりませんが、今後の施策の進め方の中で質問者の主旨を踏まえてくれることにつながりますから、効果はより大きくなると考えています。

 また視点を変えると、一般的に不意打ちでは充分な議論が出来ないのです。例えば裁判の場合、検察側は証拠書類を整え事前に裁判所に提出します。また弁護士も依頼者と充分な意見交換を行ったうえで裁判に挑むことになります。裁判所は事前に資料を確認した上で、両者の言い分を法廷で聞くことになります。つまり判決を下すのに際して、事前に資料を読み、場合によっては現場に赴いて(裁判官は忙しいので実際は少ないようです)、正確に判断する姿勢を整えているのです。勿論、裁判では白紙の状態で望みますが、全く何もない状態からスタートするものではないのです。

 また審議が続く中で、今までの筋道と全く違った証拠提出は不意打ちと言われ、証拠書類して採用されない場合もある程です。
 またスポーツの試合でも事前に相手の研究を行い、長所や短所を把握しています。全くゼロの状態で試合開始するものではありません。戦争の場合もそうで、事前に何からの話し合いを行った結果、意見の対立が収まらないで、選択肢が他にない場合、宣戦布告を行い戦闘開始となるのです。ここでも不意打ちは卑怯なやり方であり認められるものではありません。

 このように不意打ちは決して得策ではありませんし、真剣勝負の場合でも事前に調査、研究が必要なのです。議会での一般質問も当局に対して事前に質問者がその主旨を説明しないで不意打ちを喰らわすことは、ルールはありませんが、社会通念上、好ましいとは思いません。議員と当局が考え方とお互いの資料を示し、そこで議論を交わす、そしてより良い方向に施策なりを組み立てていく、これが正当な姿であると考えます。

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