463.小学校6年生
 小学校6年生にとっては最後の運動会。子ども達の元気な演技や競技を見ていると、応援している内にこちらが元気付けられますから不思議です。大人になると無理なことは自分の中で知っているので自分で限界を作ってしまっています。実は可能性を思い描くことで行動に移すなら限界はないのですが、社会での経験から自ら心に高い壁を構築しているので、挑戦する前に止めてしまうのです。

 ところが小学生の演技は違います。一学期の後半から練習してきた器械体操が運動会で成功させる程に成長しているのです。代表して挨拶した小学生によると、最後の練習でも出来なかったことを本番で成功させることが出来たのです。小学生の成長の速度は以上です。ゴールデンエイジとも言われるように、この時期の体験が後々、影響を及ぼすことになります。

 器械体操の種目、特に組み体操になると演技は難しいのですが、次々とやり遂げて行きます。明らかに、かなり練習した姿をそこから見ることが出来ます。器械体操に挑戦する小学6年生にとって最後の運動会です。中学生になると保護者の応援は極端に少なくなりますから、保護者と過ごす最後の運動会とも言えます。
 必死に成功させようとしている姿に思わず声援を贈りたくなります。成功の影に失敗がある。それを呼び覚ましてくれるような姿に触れました。そして最後に歌われたのが運動会の歌です。和歌山市内限定の歌だとも言われていますが、私も小学生の運動会では歌いました。「緑の風に朝を呼ぶ 仰ぐ青空心は踊る ああ夢わく日楽しく集い 花と開く運動会 いざ友よ 希望明るく手を組んで 明日の日本を背負うのだ」という歌詞です。

 小学生6年生の秋と言えば、修学旅行そして運動会と楽しい行事が続き、その後は勉強を中心とした学校生活となり翌年卒業を迎えます。自分の小学校6年生のことは今でも覚えていますが、運動会が終わる時期は、丁度、入り江から船で出航したところのイメージです。まだ陸地もありますし、遠くには青く無限の海が広がっています。行く方向は定まっていませんし、どこにでも舵を切ることが出来る、確かに可能性は無限にある季節です。

 ところが大人になると航海は一変します。今なお、広い海原をこれから向かう方向も決まらずに彷徨っている状態になります。出航してきた港もみえませんし目的とする陸地もまだ見えません。
 この場合、引き返すことよりも前進を選択するのですが、ある時期になれば目的地を地図で示す必要があります。航路図がないと何時まで経っても彷徨っている他ないからです。それに気付いた人の航海の推進力は向上します。長い航海を終えて早く希望する目的地に到達したいとの思いが夢の原動力になるのです。

 小学生の時代に、夢を描くこと、それを書き記すこと、その夢と夢を書いた紙を何時までも持ち続けることの重要性を知ることが出来たら、どれだけ早く目的地に辿り着けるのでしょうか。進路は自分で決定し、具体化させ、自分で進まなければなりません。
 運動会を終えてこれからは、卒業集作成のために記録や将来の夢を考える時期に入ります。私の小学校の時は、余り考えないで思いつきで将来の夢を綴りましたが、「医者になりたい」などの夢を描いた友人は、今ではそれを現実のものにしています。夢を書く最初が小学校の卒業集だと思います。港から出航する時期、今から目的地を考えそして明確にしておきたいものです。方向の分からない海原で進路を考えるよりも、自分の位置が分かっている時期にこれからの進路を定める方が決め方は容易ですし、目的を達成する時期も早くなります。
 それがどれだけの意味があるのか、年齢を重ねると実感することになります。

コラム トップページに戻る

前のコラムへ   /  次のコラムへ