456.種子と要求
 紀伊半島での携帯電話の不通話地域を解消するために和歌山県は動いています。民間事業者としても不通話地域を解消することは、お客さんサービスの向上にもなりますし、ビジネスチャンスが拡大することに直結します。
 携帯電話も一人二台目を持つ時代になっているようです。何故二台も必要なのか理由は分かりませんが、私的な友人と仕事とで使い分けている人が増えているのも一因だと教えてくれました。また家庭で複数台持っているのは、子どもの安全対策としてだそうです。
 子ども携帯は、使用できる機能を絞っていること、そして防犯ブザーの機能が付加されていることが特徴です。そして家族間の通話が無料の契約が可能な携帯電話もあるため、比較的持ちやすくなっています。

 早い段階から子どもに携帯電話を持たせることには賛否はありますが、犯罪から身を守るために対応出来るしくみや料金体系を携帯電話会社が整えていることには注目です。民間会社は、社会情勢に対応する速度は早いのです。それらのサービスや機能が必要であるかないかは利用者が決めることですが、利用者は何が必要なのか気付かない場合が多いのです。サービス提供がされて初めて、その活用方法や利便性に気付くのです。サービスのための種子は拾うことは出来ますが、本当の要望は専門の事業者が市場に提供して、利用者の判断を仰ぐことになります。利用者とサービス提供者の思いが一致すれば、ニーズを満たした仕事であり計画であったと評価されるのです。

 利用者の意見は大切ですがそのままだと使えない場合があり、事業者がそれらの要求に応えられるようなしくみを考えて具体的に商品化、またはサービスの具体化を図ることを求められています。お客さんの要望に応えるとは、お客さんの要求以上のサービス提供をすることにあります。
 専門家はそのサービスの利用者よりも、一般的には専門知識が豊富で、先進地の情報も取りやすくなっています。そのためお客さんから評価が高い他地域のサービス(国内では東京発信のもの)を、いち早くその地域に取り入れることが出来るのです。勿論、そのままで活用出来る場合もありますし、地域事情に応じた形に加工してサービス提供する場合もあります。

 現時点ではその地域にないのですが、優れたサービスや商品を選定し加工して当該地域に取り入れることで利用者の生活を豊かに、そして快適にする。それらのことを行うのが地域における優れた事業者だと言えます。全くオリジナルなものを生み出すことは難しい時代ですから、先進地に習う姿勢を持ち、取り入れる勇気を持つことが大切です。自分達のまちのオリジナルなもの、自分達の地域の個性なるものを余りに重視すると、住んでいる人の感覚やセンスを後退させてしまいます。住む人がこれで良いと思ってしまうと、発展性はなくなりますから、更に遅れた地域になる危険性があります。

 優れた経営感覚を持った人や事業者が活躍出来る環境を作ることが、地域の活力を呼び起こします。横並びのサービスで満足している、または従来通りの感覚では、生きている充実感を持つことは難しいのです。
 時代の先端近くを走る感覚、今までとは違う仕事に出くわすことにワクワクすることが自分の中の活力を呼び覚まします。

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