446.わくわく広場
 2007年、福崎わくわく広場が開催されました。毎年恒例のこのイベントは、関東と関西の子供たちに交流の機会を持ち夏の思い出を作ってもらうことを目的としたものです。そのため関東と関西から大人のスタッフが集まって、子ども達に遊びと夢を提供します。
 私も参画しているNPO法人ギャラクシー・ブライトが主宰しているもので、私もこの交流の機会を楽しみにしています。従来、交流場所は福崎にある空き地を活用していましたが、現在は福崎空中広場を建設しNPO法人活動の拠点にしているため、夏の暑さも凌げますから、子供たちに遊びを提供するアイテムも増えました。子ども達を愛し、そしてギャラクシーブライトの活動を愛して福崎空中広場を建設したFさんは、数年前若くして他界しましたが、その精神は一緒に活動させていただいた私も引き継ぎをさせてもらっています。

 この建物には子ども達が元気に、そして健全に育って欲しいとの大人である私達の願いが詰まっていますし、夏のひと時を楽しんでくれた子ども達には、大きくなっても今描いている夢を求め続けて欲しいとの期待も込められています。
 また毎年一緒に活動していたAさんの姿は、残念ながら今年は見られませんでした。福崎わくわく広場が開催されている今日から、わずか99日前に若くして亡くなられたのです。

 イベント二日目の明日が丁度100日目に当たりますから、Aさんが見守ってくれているような気がします。Aさんの姿は会場に見当たりませんが、その精神もまた、ここに生き続けています。故人が寄贈した文庫が福崎空中広場の2階に、その名前と共に設置されています。1年ぶりにその文庫と対面しました。以前からの本に加えて最近の新しい本も加えられていた様子がありました。

 子ども達には少し難しい内容の本もありますが、タイトルを見るとAさんの思いが伝わってきます。子どもの頃の夢を忘れないで、いつまでも追い求めて欲しいとの気持ちが込められているようです。
 大人になった私達も覚えておきたい気持ちです。大人が夢を持てないことはありません。大人が夢を持ちそれを追い続ける、素晴らしい生涯になることは必至です。子どもの頃の夢をなくした大人であっても、この空中広場に来ると夢を思い出させてくれ、再びそれを追い求める気持ちにさせてくれます。

 それは斬新的な建物の影響もありますが、この活動に込められた多くの人の思いがここに潜んでいること。そして今を生きる関係者がその精神を受け継いで活動し続けている、その氣が空気中に充満しているからです。私達の大人の氣が子ども達に伝えられ、子ども達からは素直な瞳から夢の大切を教えられています。

 今回のわくわく広場では、子ども達は未来のまちの姿を描いてくれました。科学技術と自然環境が調和されたまちを描いてくれました。これらの作品には、未来は今よりも素敵なものであって欲しいとの願いが満ち溢れています。
 そしてスタッフとして参加している大人も各界で活躍している素晴らしい顔ぶれです。医学博士、大学教授、建築家、会社経営者などが、自然にその知識と経験を子ども達に分け与えている光景が広がっています。子ども達はその大人が誰だか知らないけれども、私から見るととても豪華な野外学習なのです。無意識のうちに一流の人格者と触れ合う機会は、子どもにとっての財産になります。

 やがて今日参加した子どもたち達が大人になって社会で認められる頃、再び、福崎空中広場に戻ってきて、わくわく広場にスタッフとして参加しているような気がします。
 夢のような連鎖を描きながら、何も見ていないように夏は過ぎて行きます。

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