441.枠組み
 お客さんや市民の皆さんが要望する事案は、大抵、規定や枠組みから少し範囲を広げたものです。ですから、全く対応出来ないような非現実的な要望は少ないような気がします。
 極論すれば、なるべく拡大解釈をして対応出来るように考えるのが民間の仕事で、規定に基づいた仕事をするのが公務員の仕事です。これはどちらが良いとか悪いとかの問題ではなく、公務員は基準に即した仕事をすることで信頼があり、秩序を維持しているのですから問題はありません。
 ただ法律とは、時代から少し遅れるもので、不具合が発生するようになると改正され時代に追いついてきます。これは法の精神からすると仕方のないことですから、現在の公務員には法律の範囲で規定の枠外に該当するような事案については、少し解釈を拡大した仕事を求められていることも事実です。それだけ社会の要請が、予想を上回り多岐に亘っていると言えます。

 法律や基準に照らし合わせて、その枠内で仕事をすることは誰にでも出来ることです。ただそれだけでは発展性はありません。個人や組織の実力は、どれだけ拡大解釈をして、お客さんや相手のために資することが出来るかで評価されます。決められた枠よりも小さく解釈するのか、枠を少し超えて大きく解釈するのかで、活動できる領域は違ってきますし、それ以降の展開も違ってきます。
 そして責任者とは、腹を括れる人を指します。結果に責任を負うのが責任者です、規定内で責任を負うことは誰にでも出来ることですが、相手の立場に立って解釈の下で仕事をした結果責任を負えるのが真の責任者です。
 解釈に迷った時、責任ある人が即座に判断できる組織は実力のある組織で、責任者が一旦態度を保留する組織は責任を回避する組織です。

 時代に即した対応を全くしないと、そこから組織やしくみの後退が始まります。時代の要請に追いつけるような仕事をしたいものですが、実際は難しいものです。少しでも違いを見せると批判はつき物ですし、陰口を言われることも出てきます。正直、これには参ります。言葉の威力は凄まじいもので、活動にブレーキを掛けてくれますし、活動意欲を減退させてくれる効果があります。
 自分のことですから、他人の言葉に影響を受けないように精神力を強化すべきなのですが、強い精神を持つことは中々容易ではありません。
 他人が誰かを批判することは簡単ですが、言われた人がそれを克服することは難しいものです。ですから活動家に対しての陰口は慎みたいものです。社会を良くしようとするための活動にブレーキを掛けるような批判からは何も生まれないからです。

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