430.抵抗の力
 ある業種の方は、和歌山県は保守的な地域と言われていることから、新しい取り組みをするのは大変だと話してくれました。
 ある一人が新しい取り組みを実行しようとすると、必ず抵抗勢力が立ち塞がります。一人が行動を起こすと、それに抵抗する人は倍数に二乗、三乗になると考える位が丁度良いそうです。つまり一人が波紋を投げかけるような行動を起こすと、抵抗する人は2人の二乗の場合は4人、三乗の場合は8人となります。二人で行動を起こそうとすると抵抗する人は4人の二乗で16人、三乗すると64人になります。抵抗勢力の実数は本人が思っている以上に多いことに気付きます。

 繰り返しますが二人で何か新しい行動を起こした場合、現状を保持しようとする64人の勢力が立ち塞がる訳です。如何に現状を改善、改革することが大変なことか伺える数字です。新しい活動をしようとする人が増えるほど抵抗力は大きくなるので、現状を突破することは容易ではなくなる訳です。一人の人より複数の人が現状打破を思った場合、波紋は大きくなりますから抵抗力が大きくなるのは当然のことです。
 それでも一人より二人、二人より三人のチームで行動を起こすべきです。抵抗力に対向していくためには志を同じくするチームの力が絶対必要です。役割分担をした上で、壁を突破する方が一人で立ち向かうよりも可能性はありそうです。人は仲間で話し合うこと、聞いてもらうことだけでも立ち向かえる力が沸いて来るからです。

 200人の組織をリードする人が時代に応じて舵取りをしようとしても、すんなりとは舵を切れません。納得してもらう、賛同してもらう説明に時間を要し、時には見切り発車する場合も生じますから、全ての人を引っ張ることは大変な力を必要とします。
 もし一桁多くなるともっと大変です。2,000人の人数をリードしようとしても全ての人と直接対話するのは難しいことですから、会わなくても納得させられるだけの力が必要となってきます。百人を引っ張るのと千人を引っ張るのとでは、リードするために違う力が必要となります。会って納得してもらう方法と、会わなくても納得してもらう方法、そのふたつを達成することがリーダーに求められます。

 会わずに相手に納得してもらう方法は難しいものです。媒体の活用、ホームページやメールの活用などがありますが、最大の力となるのはリーダーの思いを伝えてくれる人が存在していることです。思いを伝えてくれる人が複数人いれば、組織の力はもっと強くなります。

 挑戦は不安、孤独と言った自分の心との戦いでもあります。相手に勝つためには、まず自分に打ち勝つ必要があります。その前提を作ることが出来て初めて、チームとして新しい行動を起こせるのです。

 ただこちらのチーム力が増せば増すほど、それに抵抗する力も強くなります。行動して壁を突破するには思った以上に時間を要しますが、それでも最初の一歩を踏み出すことで風穴を空けることが可能となります。
 立ち塞がる抵抗力は自分が思う以上に大きいことを認識した上で、チーム力で立ち向かいたいものです。その結果は表れるものだと信じています。

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