421.戦い終えて
 県議会に向けた挑戦の舞台となった事務所での仕事が終わりました。この活動を言葉を表すと、期待感。不安感。衝突。行き詰まり。停滞。団結。賑わい。躍動感。一体感。喜び。傷心。焦心。希望。飛躍。涙。笑顔。出会い。信頼。緊張。暗闇。夜明け。冬の厳しさ。春の到来。拡がり。達成感。満足感。失望。苛立ち。祝福。感動。悔しさ。静寂。夢。別れ。明日。そして、旅立ち。

 どのような言葉も当てはまるようなドラマがこの場所ではありました。様々な出来事があったこの場所で、再び仕事をすることがないと思うと寂しさが込み上げてきます。
 今はただ、スタッフの皆さん、地元を初め支えてくれた皆さん、後援会役員の皆さん、そして素敵な事務所にも感謝するばかりです。感謝の気持ちと共にお別れです。
 当選の結果は嬉しいことですが、結果が出たことは別れの時期が近づいてきたことを示していました。日曜日にみんなで喜び、5日後の金曜日にみんなとお別れとなりました。

 支えていただいた皆さん。今日まで本当にありがとうございました。皆さんのお陰で当選させていただくことが出来ました。心から感謝申し上げます。今年1月からの三ヶ月間、皆さんのお陰で今日までやってくる事が出来ました。過ぎてしまうと長いようで短い時間でしたが、この三ヶ月の出来事は生涯、絶対に忘れることはありません。

 言うまでもないことですが、選挙で当選することは候補者の力ではありません。応援してくれる皆さんの力が結集した結果です。友人や地域から信頼されている方々が集まってくれることが当選に結びつくのです。今回、素晴らしいスタッフに恵まれたことが、勝利した最大で唯一の要因です。改めて感謝申し上げます。

 選挙とは戦争ですから勝たなくては意味がありません。現代社会のルールとは異なり、開戦予告などのルールを除くと戦争にはルールがありません。ですから本来、選挙は相手陣営を叩き勝とうとする戦争のような側面を持っています。
 しかし選挙戦を戦う中で、素晴らしい事件にも遭遇しました。それは戦場に咲く花のようなものかも知れませんが、人の気持ちを優しくしてくれるものでした。

 過去から選挙に関わった経験のある方は「今までの選挙では感じなかったような凄い手ごたえがあったのも印象的ですし、信じられないような素晴らしい出来事が三つもありました。不思議な選挙戦でした」と話してくれました。

事例1
 JR和歌山駅前で街頭演説をしている途中、雨が降ってきました。傘の持ち合わせがなかったので雨に濡れながらマイクを握っていました。そうした中、遠くから知らない男性が近寄ってきたのです。妨害か文句を言いに来たのだろうと思いました。
 ところがその男性は傘を差し掛けてくれたのです。「ええ話をしているけれど、雨に濡れているやないか。この傘、君にあげるから頑張るんやで。返さなくてもいいから。俺も票があるから大丈夫。任せておいて」と声を掛けてくれました。冷たい雨の中、暖かい気持ちで溢れました。
 そしてJR和歌山駅前のこの街頭演説した場所は、Nさんが雨の中、警察と交渉して場所を確保してくれたものでした。良い演説場所を守るために、私が到着するまでこの場所を確保し続けてくれたのです。

事例2
 懸命に応援してくれたSさん。選挙戦に入った最後の局面でも自転車で駆け巡ってくれていました。ある日の夕方、自転車で走っていると、前から来た2台の自転車に挟まれて壁に接触し転倒しました。腰を強打したため、そのまま動けなくなりました。残りの期間、応援することが出来なくなったと、ご主人さんが事務所に来て「妻が事故に遭遇し、動けなくなったので大切な選挙の時期にお手伝いが出来なくなった。申し訳ない」と話してくれました。
「選挙よりも、奥さんの健康や生命の方が大切ですよ」と答え、その翌日、Sさん宅を訪問しました。
 Sさんの自宅で会うと開口一番「こんな大切な時期にこんな場所に来るなんて。私のことはいいから早く活動して下さい」との反応。
 勿論、当選することは大切。しかし大切なことがあります。どんな状況であっても、人を思いやることの出来る気持ちを持つことです。お手伝いしてくれている人を只の集票マシーンだと思うようなら、選挙を戦うのに相応しくありません。

事例3
 事務所の皆さんが疲労からか、終盤戦になった次々に風邪で倒れました。私が最後まで元気で活動できたのは、スタッフの皆さんが私の代わりに諸問題を負担してくれたからでした。投票日当日。高熱を押して事務所に来てくれた方もいましたし、高熱で動けなくなり家で応援してくれた人もいました。
 当選が報じられると、スタッフの皆さんの携帯電話に次々と「おめでとう」コールが信じられない程入りました。ある人は100人の方から電話が入ったのです。その話を聞くだけで嬉しさが込み上げてきます。

 選挙は仁義なき戦いですが、その中に思いやりの気持ちが必要です。結果が同じであってもそうでなくても、思いやりのない人のところには人の気持ちは集まりません。選挙も仕事も形として仕上がるのは、報告書や出来上がった結果を見てからとなりますが、同じような結果であったとしても、人の気持ちを思いやれるような味付けをする必要があります。それがないと誰がやっても、いつまでやっても同じ結果となります。
 戦争であるはずの選挙であっても、他人を思いやる気持ちは必要です。思いやりを託してくれた票には、額面以上の価値があるのは当然なのです。

 振り返ると短い戦いでしたが、この経験は自分を成長させてくれました。平成19年1月に、和歌山市中島のこの場所に事務所を構えて以来、今日まで。本当にあっという間でした。紆余曲折がありましたが、最後まで諦めない気持ちを持って応援してくれた全ての皆さんに感謝しています。

 今年初旬の数ヶ月間、活動や生活の拠点としてきた事務所を去るのは寂しさを感じます。選挙が終わったことでホッとしたような気持ちと、寂しい気持ちが入り交ざった不思議な感じです。
 
 今日、思い出の事務所から去る訳ですが、今回の活動や選挙戦のことは生命ある限り忘れることはありません。今までのように例え毎日一緒にいられなくても、私たちの気持ちはいつも一緒です。
 皆さんのご支援を心から感謝すると共に、引き続いての皆さんからの叱咤激励を期待いたします。長い間、本当にありがとうございました。

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