355.春夏秋霜
 社会は人間で構成されているものですから、仕事を上手く行うのも課題解決に向かわせるのも人間関係が最も大切です。ところが最も難しいのも人間関係ですから、悩みは尽きません。
 この大切で難しい人間関係に関して心得ておきたい言葉を見つけました。
「春風を以て人に接し、秋霜を以て自らを粛む」という「言志後禄」の一文です。この文に関して岬龍一郎氏の解釈を引用します。「春に吹く風の暖かさをもって人に接し、秋に降りる霜の厳しさをもって自らを慎む。立派な人の処し方とは、このようなものだ」(*1)というものです。略して「春夏秋霜」といわれている文章だそうです。
 
 ややもすると人は、他人の行為には厳しく自分の行為には甘くなります。しかし何かの行動を起こす場合には、十分な構想に基づいた企画が土台にあり、機を見て行動を起こしているのですから、表面の姿だけを評価するのは間違いです。決心と行動の背景などをしっかりと確認したうえで賛否を唱えるべきです。

 最近関わった事例からも人間関係について学べるばかりです。
 例えば、個人の住宅で風力発電だけではなく、太陽光、太陽熱、雨水の活用など、エネルギーの自給自足を達成している方がいます。総費用は約450万円を要していますが、地球環境に役立っていることや社会で役立っていることを実感しています。訪問した日も風力設備が風で勢いよく回っていました。投資した設備が活躍してくれている姿を見るのが楽しみでもある幸せな毎日を過ごしています。
 エネルギーを自給自足させる設備を設置することで、経済性、環境性、社会貢献、幸せを成立させているのです。
 この考えと行動は、経済を優先させるのではなく地球環境を第一に考えた素晴らしいものです。 

 また和歌山市に総合型地域スポーツクラブを設置するために活動している方がいます。地域への理解を求める活動、民間と行政機関との意見調整、既存の総合型地域スポーツクラブへの聞き取り調査など孤軍奮闘しています。この行動の原点は、仕事でスポーツに関わっていることから地域とスポーツにお返しをするために何かを地域に残したいという気持ちです。地域の方に生涯にわたってスポーツを楽しめる環境を提供することで、多くの方に健康で元気な人生を過ごしてもらおうとしています。

 これらは地域にない新しい取り組みですから、理解者は少ないところからのスタートです。傍観する人からは「自然エネルギー設備にお金をかけても採算は取れないよ」「地域でのスポーツ拠点作りなんて難しいよ」などの意見も聞かれますが、思い切って行動している人にとっては、言葉よりも行動が重要だと分かっていますから雑音に聞こえる程度です。
 ただ、未来に続く道路に転がっている小石のような言葉の数々は、将来、行動の速度が加速すると邪魔になる場合が発生します。
 ですから、人と接する時は何時でも「春夏秋霜」の気持ちを忘れずに接し、決して邪魔をしないように心掛けたいものです。

*1の出典 『仕事論』岬龍一郎著、PHP研究所、2006.6.9

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