335.目標
 人は目標をどこに置くかで人生の到達地点が変わってきます。自分の能力を自分なりに評価して、この程度まで進もうと思っていたら、その地点か、その一歩手前で止まってしまいます。自分で定めた目標を超えることは難しいものですから、出来るだけ高く目標を掲げることが大切です。
 自分の能力なんて自分で分からないものですから、自分で限界を決める必要はありません。限界を決めてしまうと、その範囲内での活動に終わってしまう危険性があります。現在、生きている人は誰も終わりの時を迎えていませんから、自分の限界は分かりません。到達地点や限界は生を全うする瞬間に決定するものですから、それまでは目標を持ち続けたいものです。

 ある人は年齢を重ねても仕事に全力を尽くしています。例え定年が見えていても立ち止まることはしないと話しています。終点が見えたからと言って速度を緩めていては、目標の手前で止まってしまうからです。全力でゴールを突破することで目標値を上回ることが出来ますし、より遠くまで進めます。低い目標を掲げると到達は容易ですが、全力で走らなくても良い状態であればやり遂げた充実感を味わうことは出来ません。

 遠くまで行くことが幸せかどうか分かりませんが、結果はともかく、全力を尽くさないよりも全力を尽くす方が幸せになることは確実なことです。そして全力を尽くすためには、目標を決定しておく必要があります。クリアすべき目標があるからこそ人は行動する気になるのです。何もないと精神的には寝ている状態になり、意識面で動き出すことはありません。

 人は歩いているよりも座っている方が楽ですし、座っているよりも寝ている方が楽なのです。楽を覚えてしまうと動作が鈍くなってしまいますから、生きている内は起きて歩いていたいものです。意識を寝かせてしまうと起き上がるのに時間がかかり過ぎます。
 そしてその時間は、誰にでも公平に与えられていますが貯めておくことは出来ませんし、上手く使うにも体感速度が速い性質を持っていますから、必要な時には過ぎ去っているものです。目標を定めた後にやって来る時間を捕まえる必要があります。目標を持っていないと時間を追いかけるだけの姿勢となり、上手く時間を活用することは適いません。
 時間を追いかけても追いつくことは出来ませんから、時流の川上にいて時流に乗っかることが大切です。時流の上流にいるためには目標を持つこと以外に選択肢はありません。

 目標とは、自分で感じる時間を支配出来る人間に与えられた道具なのです。時間を支配するために誰でも使うことが出来る道具を活用して、時流に乗って限界点まで到達する充実感を味わいたいものです。

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